Project/Area Number |
12J11238
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
芸術学・芸術史・芸術一般
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
田中 翼 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2012 – 2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 自動作曲 / 旋法 / 感情 / 強化学習 / 群論 / 音程スケール / 電子音楽 / 対位法 / 音楽理論生成 / 音階 / 旋律法 / 音楽情報検索 |
Research Abstract |
本研究の目的は、音楽において個々の作品よりも一段抽象化されたレベルの音楽理論的構造をコンピュータや計算を用いて生成し、新しい音楽スタイルを作り出すことである。25年度の成果は大まかに3つの項目に分けられる。1つ目は、旋法の生成に関するものである。旋法は感情の差異を表現するのに役立つが、その種類は数学的に膨大なため、感情と旋法の良い対応づけを得るのは困難である。そこで私は、固定された実験サンプルを評価する通常の心理実験ではなく、強化学習のアルゴリズムによって実験サンプル自体を評価者に適応変化させていく手法を案出した。そして、4つのタイプの感情をターゲットとした実験において、それらの感情を表現する旋法を得ることができた。この手法は、感情の表現力をもつ音楽スタイルを生み出す研究のプロトタイプとして大きな意義があると考える。2つ目は、旋法の研究から派生的に見いだした「音程スケール」という新しい音楽概念の研究である。これは、使用しうる音程の集合として定義される概念である。旋法や音階と異なり、音高ではなく音程の集合を使用することで、音高の制限がなされない無調音楽において通常の音階のような差異を生み出せる可能性がある。私はどのような音程スケールを選ぶべきか、無調の音楽が生成できる条件は何かなどを数学的に解明した。また、この理論を応用してピアノ作品を制作・発表しその有用性を示した。3つ目は「サウンドファイルの対位法」という私の考案した音楽理論に関係するものである。「サウンドファイルの対位法」とは、録音音源の内容を音響分析し、その情報を元にサウンドファイル断片の適切な同時的、経時的な組み合わせを自動決定する枠組みである。この研究は、コンピュータの探索能力を活かすことで、従来の録音された音素材を耳で聞いて配置する電子音楽の作曲に対して、新たな作曲のあり方の提示を意図するものである。本年度は1年目に構築したシステムを発展させ、使用する音源と音響分析の多様化を行い、美術館で展示を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画していた研究計画を概ね完遂し成果発表に結びつけることができた。またその過程で、新たな音楽概念の発見があり、その理論的な解明とともに実際の作品制作への応用まで行うことができた。これらの点は当初の計画以上の進展である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は25年度で終了である。今後はその発展として、感情を表現する音楽的パターンを獲得する研究を旋法以外にも広げゆき、自動作曲における表現力の拡張に取り組みたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)