公務員制度の国際比較分析-民間部門からの公募任用と政府のパフォーマンスの関係-
Project/Area Number |
12J56592
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小田 勇樹 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 公務員 / 人事管理 / 業績管理 / 組織業績 / 官僚制 / 雇用システム |
Research Abstract |
本研究の目的はイギリスの中央政府における、上級公務員の公募任用と組織のパフォーマンスとの関係を分析することである。本年度の研究計画に則り、本年度は公募任用により民間部門を経験した上級公務員の任用と、中央政府のパフォーマンスの関係を実証的に検証した。本研究は組織(各省の局単位)の業績を従属変数とし、上級公務員の経歴を主な独立変数として、計量分析を実施した。1.まずイギリス政府の主要な政策課題を担当する課長級・局長級職員の職歴調査を実施した。調査結果に基づいて各職員のこれまでの職歴を種類に応じて区分し、それぞれの経験有無を判別したデータセットを作成した。2.作成したデータセットを元に、政策目標の達成・未達成との関係について計量分析を実施した。計量分析の結果、「民間部門での経験」を持つ上級公務員の組織は、政策目標を達成する可能性が高くなることが明らかになった。3.加えて、計量分析のために作成した公務員の職歴データから、イギリスの上級公務員のキャリアパスの多様性、およびNew Public Management(NPM)と呼ばれる改革によるキャリア構造の変化が明らかになった。先行研究では実証的なデータに基づいたキャリア構造の検証は不足しており、本研究のデータセットはこうした空白を埋めるものである。研究成果の一部は2013年1月29日の国際シンポジウムで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分析対象の性質上、必ずしも明確な結果が出る保障はなかった点、データセットの作成作業に大きな遅れが生じなかった点、以上の2点から当初の見込みよりも順調に研究を遂行することができた。計量分析による成果に加え、データセットから付随的な知見(前々項9:研究実績の概要(3)部分)を得ることができたため「(1)当初の計画以上に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
計量分析により、民間部門での職業経験が組織のパフォーマンスを高めることは示されたが、その具体的なメカニズムは未解明のままである。計量分析に先立って構築した理論モデルで想定する因果関係が実際に生じているのかについては、計量的手法ではなく具体的なケーススタディを通じて検証する必要がある。加えて今回は、既に民間からの中途採用(公募任用)制度を導入している国で、なおかつ実際に多くの民間経験者が採用され、職員の経歴データが入手可能であることからイギリスを分析対象としている。そのため本研究課題の成果を、そのまま日本に当てはめることは難しい。研究成果をより有用な形で日本社会へと還元するためにも、組織文化や分業方法の違いなどを考慮した国際比較分析が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)