大腸菌RNAポリメラーゼのαサブユニットを介した転写活性化のメカニズム
Project/Area Number |
13014220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤田 信之 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助手 (90173434)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 大腸菌 / RNAポリメラーゼ / 転写調節 / αサブユニット / 転写因子 / UPエレメント |
Research Abstract |
RNAポリメラーゼαサブユニットのC末端ドメインは、cAMP受容蛋白 (CRP) をはじめとする様々な転写因子や、プロモーター上流に存在するUPエレメントと呼ばれるATリッチなDNA配列との相互作用を介して、転写活性化に重要な役割を果たす。C末端ドメインとRNAポリメラーゼ本体をつなぐリンカー部分をpoly-Glycineに置き換えた変異は、in vitroにおけるCRP依存の転写およびUPエレメント依存の転写を強く阻害したが、DNaselフットプリンティングの結果から、転写複合体の形成、とりわけαC末端ドメインとプロモーター上流域DNAとの相互作用にはほとんど影響がないことがわかった。しかしながら、複合体形成にともなう転写開始点付近のDNA鎖の開裂 (開鎖複合体の形成) は有意に減少していた。また、αC末端ドメイン上のアミノ酸置換によってUPエレメント依存の活性が減少した変異体10種類についてDNaselフットプリンティングを行ったところ、転写活性と複合体形成能は必ずしも相関しないことがわかった。これらの結果は、転写の活性化には複合体形成 (recruitment) だけでは不十分であり、その後に起こるDNA鎖開裂などのプロセス (post-recruitment) が重要であること、さらに、そのプロセスにαのドメイン間リンカーとC末端ドメインそのものの構造が大きく関与していることを示唆している。 αサブユニットのC末端ドメインは、rrnB (リボソームRNAオペロン)のような典型的なUPエレメントを持つプロモーターだけでなく、より広範囲のプロモーターにおいてプロモーター上流域DNAと相互作用し、これによって転写複合体の形成を促進したり、転写因子による活性化を仲介すると考えられる。非典型的なUPエレメントを持つプロモーターの例としてT7Dプロモーターを取り上げ、これとrrnBプロモーターとの違いを明らかにするため、αC末端ドメインのアラニン置換変異体約30種類を作成しこれらの変異に対する応答を比較した。また、DNaselフットプリンティング、ヒドロキシルラジカルフットプリンティング、C末端ドメイン上に導入した鉄・EDTA誘導体によるDNA鎖切断、その他のフットプリンティング手法を用いてDNAとの相互作用様式を解析、比較した。その結果、両者においてDNAとαC末端ドメインとの相互作用様式はおおまかには類似しているものの、C末端ドメイン上のいくつかのアミノ酸、とりわけヘリックスIIIとIV上のアミノ酸の相対的な寄与が異なっていることがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)