Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
イネ科の花は非常に特殊化しており,その発生分化の分子機構の解明は興味深い研究課題である.イネのDROOPING LEAF(DL)遺伝子のloss-of-function変異体では,花において心皮が雄蕊にホメオティックに転換する.われわれはこの原因遺伝子を単離し,これがYABBY遺伝子ファミリーに属すること,心皮の原基および発生中の心皮で発現することを明らかにしてきた.dl変異体の表現型とこれらの結果から,イネにおいては,DLが心皮のアイデンティティーの決定を支配していると考えられる.また,dl変異体の表現型は,DLがBクラス遺伝子と互いに負の制御を行っていることを示唆している.そこで,イネにおけるAP3 orthologであるOsMADS16の空間的発現パターンを調べたところ,dl変異体において,野性型では心皮が形成される第4whorlにおいて,この遺伝子が異所的に発現していることが示され,この作業仮説が一部証明された. そこで,このDLの機能とそれから推定される花の発生モデルが一般化できるのかどうかを明らかにする目的で,イネ科のコムギおよびトウモロコシよりDLの相同遺伝子をそれぞれ単離した.これらの遺伝子がコードするタンパク質は非常に相同性が高く,分子系統学的解析から,単離したcDNAは確かにDLのorthologであることが判明した.次に,雌雄異花植物であるトウモロコシのおよびコムギのDL ortholog(ZmDL, TaDL)の空間的発現パターンを解析した.ともに,幼穂においては,心皮の原基の予定領域よりその発現が検出され,心皮の発生,花柱の形成される時期を通じて強い発現が認められた.これらの結果と他の証拠を総合すると,トウモロコシおよびコムギにおいてはDL orthologが心皮の発生を制御していることを強く示唆している.
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