Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
本年度は,「古典学の再構築」最終年度にあたるため,公募研究をまとめ成果報告として提出すると共に,総括班研究報告,及び所属するA02班(本文批評と解釈)全体の成果報告にも寄稿した。まず公募研究の成果報告は,「クマーリラによる読者意識の二つの次元」という副題のもとに,第I期公募研究においてその存在を明らかにしたクマーリラの解釈学の二つの側面,即ち,個人の行為分析とヴェーダを構成する文相互の階層性分析という二つの側面の相互の関わりを更に明確化するため,『原理の評釈』第2巻第3章部分を主とした研究により,クマーリラが,祭式文献を読む読者個人の意識を支えるものとして,二つの次元を想定していることを明らかにした。即ち,クマーリラ以前から聖典解釈学派で意識されていた,テキストを読み進むにつれ既有知識をもとに新規知識を拡大していくテキスト認識の次元と,クマーリラが新たに導入した,行為の前提となる所与の状況設定と目的達成のために行使する手段との対比による,個人の実践にかかわる次元である。総括班研究報告では,「古典学の歴史」のうち「インド学の現状(第2次大戦後)」を担当した。世界的に見ると,戦前までのインド学はヴェーダ学が中心であったが,戦後急速に,叙事詩とヒンドゥー教聖典,法典と文法学,及び哲学思想の種々の流派への関心が高まり,原典校訂と翻訳,更に内容の研究が盛んにおこなわれてきた研究史の概要を報告した。A02班全体の成果報告では,「インドにおける本文批評と解釈の特色」のうち,「ミーマーンサー学派のテキスト解釈法」の1節を担当した。ミーマーンサー学派において,或る文の記述対象となっている祭式構成要素が,祭式を構成する他のどの要素が完成するために用いられるのかを確定する解釈の基準を,どのように考えていたのかを紹介した。
|