Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
ヴェーダは紀元前二千年期の後半から順次製作・編集された,古インドアーリヤ語の古層で書かれた文献群の総称である。その中,祭式を巡る議論を中心内容とする散文部分は「ブラーフマナ」と呼ばれる。その最古層は紀元前800年頃にまで遡り,「黒ヤジュルヴェーダ」と総称される文献群の「サンヒター」(本集)中に編集されている。その後2〜300年間に,各祭官学派は『ブラーフマナ』という名を冠する独立した文献を編集した。よく知られる「ウパニシャッド」はこれらの思弁を引き継いで成立した文献群である。 ブラーフマナに関しては,今日の学的水準でなされた翻訳・紹介は存在しない。印欧語比較言語学やインドの言語と祭式の研究は今日までに飛躍的発展を遂げ,漸く信頼できる翻訳と深い理解が可能となりつつあるが,達成された成果は個別分野の研究に止まっており,それらを総合的に動員して検証可能な学術的な形にまとめたものはない。本研究は,膨大な文献群から目的に適った部分を選んで多角的な注記とともに日本語で提供することを目標とした。 計20篇程を選び,原典の読みを確定し,翻訳を提供することを計画した。当時の専門家間の祭式解釈という特殊な枠組みの中で語られており,文体も極度に簡潔であるため解釈の果たす役割が大きく,詳細な説明・注記が必要となる。その内容は,祭式の解説,研究史,他の関連個所への言及の他,原典批判,語形,アクセント,語彙,シンタクス,人物・事物に関する解説などに亘る。ヴェーダ散文の文法書,読本は未だ無いので,語彙集と簡便な文法とを付して,高度な入門書の機能をも併せて出版することを念頭においた。 実際の研究の過程で,注記・解釈・解説を大幅に増やす必要と,相互に関連する原典箇所を同時に扱う必要とが判明し,取り上げる篇数を絞り込んだ。具体的成果としては,9グループ,計13篇について原稿を完成させた。さらに,実生活や思想史的に重要と思われる箇所を数カ所選んで同様の作業を行い,3年くらいの中に出版を果たしたい。
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