有機スズ化合物によるヒト卵巣のエストロゲン合成阻害機構の解明
Project/Area Number |
13027264
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30325518)
|
Project Period (FY) |
2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 有機スズ / アロマターゼ / 卵巣 / 顆粒膜細胞 / インポセックス / エストロゲン / トリブチルスズ / トリフェニルスズ |
Research Abstract |
船底防汚塗料や漁網防汚剤として使用されてきた有機スズ化合物は海棲ほ乳類への高度の蓄積が認められている。有機スズ化合物は、最近、貝類のインポセックスを引き起こすことが明らかとなった。このような魚介類への有機スズ汚染は、食料を通してヒトへの有機スズの蓄積の危険性があるが、ヒトの性腺系に対する影響は不明である。有機スズはヒト卵巣におけるエストロゲン合成に影響を与える可能性があるが、ヒト卵巣のアロマターゼ活性に対する直接効果について検討された報告はない。本研究では、我々が最近確立したステロイド合成能を保持したヒト卵巣顆粒膜細胞由来株KGNを用いて有機スズのアロマターゼ活性(P450AROM)に及ぼす効果を検討し、以下の結論を得た。 1)ヒト卵巣顆粒膜細胞由来細胞株KGNに対して、トリブチルスズ(TBT)/トリフェニルスズ(TPT)は高濃度(200ng/ml以上)では細胞毒性あるいはアポトーシス誘導を来すが、インポセックスを発生させる低濃度(2〜20ng/ml/0.6〜6nM)では細胞毒性を示さず、アポトーシスも誘導しない。 2)2〜20ngのTBT/TPTはKGN細胞において、添加後すぐに阻害を示すアロマターゼ競合阻害剤(YM511)とは対照的に、添加後24時間以降にP450AROM活性を抑制した。このことはTBT/TPTが遺伝子あるいは蛋白発現のレベルでP450AROMを抑制することを示唆する。実際、TBT/TPTはP450AROM mRNAレベルを低下させ、転写活性を酵素活性とほぼ同程度まで抑制した。この機構として、P450AROMの遺伝子発現に重要なcAMP-PKA経路とAd4BP/SF-1による調節の両方の阻害が明らかとなったが、その詳細な抑制機構は今後さらに解析する必要がある。 3)今回の研究により、人体にTBT/TPTが蓄積された場合、ヒト卵巣のアロマターゼ活性を抑制する可能性が示された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)