ボルナ病ウイルス感染による神経突起伸張因子の機能阻害と脳成熟への影響
Project/Area Number |
13035027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10301920)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / 中枢神経系 / 神経突起伸長因子 / 持続感染 / 脳成熟 / 神経病態 / ウイルス病原性 / 神経系 / 宿主因子 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
ボルナ病ウイルス(BDV)は、ヒトを含む多くの動物に感染が認められる神経細胞親和性のRNAウイルスである。本研究では、BDVの神経病原性とその発現機序を詳細に解析することに加え、ヒトにおけるBDV関連疾患を明らかにすることを目的とした。これまでに、BDVの主要ウイルス抗原であるリン酸化(P)蛋白質が宿主の多機能蛋白質amphoterin(HMGB1)と特異的に結合し、その機能を強く阻害することを明らかにした。しかし、中枢神経系(CNS)におけるamphoterinの役割とその異常による病態は不明である。そこで、BDVのP蛋白質をグリア細胞で発現するトランスジェニックマウス(Tg)ならびにBDVが脳内に持続感染しているラットを用いて動物脳内におけるamphoterin機能阻害の影響を解析した。P蛋白質を脳内で高発現しているTgでは、生後約4ヶ月齢以降より、攻撃性の上昇、空間記憶能力の低下そして自発運動の上昇を示した。Tg脳の病理組織学的解析では、Pが海馬の神経網に蓄積している像が観察され、それと同時に、神経細胞からのBDNF発現低下、シナプス数の減少、セロトニンレセプターの発現異常が認められた。また、神経細胞の脱落やアストロサイトの活性化は検出されなかった。一方、BDV持続感染ラットは、脳内でのamphoterinの受容体である糖化最終産物レセプター(RAGE)の発現が顕著に低下しており、脳内ストレスを誘導するLPSの腹腔内接種により、神経細胞死と後肢麻痺などの激しい神経症状を発現した。これら結果は、グリア細胞内におけるamphoterinの機能が神経細胞の活動やCNSの恒常性維持に影響を与えている可能性を示すのと同時に、amphoterin-RAGEを介したシグナルが神経細胞のストレス回避能力にも関与していることを強く示唆した。以上により、脳内でのamphoterinの機能阻害がBDVの病原性発現と深く関与している可能性が示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)