Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,サル前頭連合野においてワーキングメモリに関係するセルアンサンブルにおけるモノアミンの役割を,マルチニューロン記録法とイオントフォレシス法などを用いて明らかにすることにある。 本年度は,ワーキングメモリを担うニューロン活動の相互作用に対するモノアミンの役割の予備研究を行いつつ,主に,前頭連合野のワーキングメモリ過程の基礎的構造だとされる「機能コラム」に関する研究を展開した。ワーキングメモリは前頭連合野の機能コラムによって担われるらしい。機能コラムの活動は数万個のニューロン群の活動,まさにセルアンサンブルであり,そこでのモノアミンの役割を調べることは大きな意味がある。そこで,数頭のマカクザルの前頭連合野から脳スライス(厚さ400μm)を切り出し,チェンバー内で培養しながら電位感受性色素で染色し,皮質のIV層を電気的に刺激し,機能コラムの活動(マルチニューロン活動)を光学的にイメージングした。ついで,モノアミン,今回はとくにドーパミン受容体の促進剤を投与し,機能コラムへの活動への効果を解析した。 その結果,ドーパミンD1受容体(D2ではなく)の促進剤が,機能コラムの活動を増強させることをみつけた。この増強作用は量依存的(dose-dependent)であり,また,機能コラムの大きさや広がりに影響を与えなかった。さらに,光学信号の光周波数特性を解析した結果,この増強作用は興奮性シナプス伝達で起こることが明らかになった。これらの結果は,ドーパミンD1受容体が機能コラム内の興奮性の並列的かつ逐次的なアンサンブル的活動を増強する役割をもつことを示唆する。 この世界初の画期的な研究成果は北米神経科学大会などの国際学会でも発表し,高い評価を受けた。
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