視覚の空間情報の認知と視線運動の発現における前頭眼野と補足眼野領域の役割分担
Project/Area Number |
13210004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 菊郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70091486)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | 前頭眼野 / 滑動性眼球運動 / 輻輳運動 / 視標 / 予測 / 視線運動 / 前庭 / サル |
Research Abstract |
視覚情報は網膜から受動的に取り込まれるだけでなく、種々の眼球運動システムが感覚入力に依存して使い分けられることにより能動的に取り込まれる。視覚の空間情報の再現と視線運動の発現における前頭眼野の役割を理解するため本年度は、ゆっくり動く視覚対象の追跡に必要な情報が、サル前頭眼野にどのように再現されるかを調べた。このような視覚対象の追跡には滑動性眼球運動と輻輳運動が必須であるが、両者はそれぞれ異なるシステムとして、使われる視覚入力も脳内経路も異なると報告されている。しかしいずれも視覚情報を連続的に適切に取り込むため視覚対象像を中心窩に保持し続けるという共通の機能が要求される。例えば自分自身が動くときには前庭入力と干渉して視線(空間内眼球)運動を行い、視覚の遅い反応時間は、視覚対象の運動予測により補正される。このような共通機能のため両眼球運動情報は脳内で統合されることが必要であると考え、日本サル前頭眼野後部領域の滑動性眼球運動ニューロンの応答特性を調べた。これらニューロンの視標速度に対する応答を調べると、すでに視覚の反応時間が予測的に補正されていることが明らかになった。さらに、視標を奥行き方向に動かすことによる輻輳運動にも応答するかどうかを調べたところ、大多数(66%)は滑動性眼球運動と輻輳運動の両者に応答した。滑動性眼球運動のみに応答したのは25%で、残り9%は輻輳運動のみに応答した。大多数のニューロンの発射は輻輳速度にほぼ比例して変化した。さらに奥行き方向の視標速度に応答するニューロンも記録され、前庭刺激を加えることにより、前額面での視線速度にも、奥行き方向の直線加速度にも応答した。以上の結果は前頭眼野後部領域が滑動性眼球運動と輻輳運動の両者に共通の神経機構を備え、3次元空間のあらゆる方向の視標運動の追跡のための視線運動信号がこの領域に再現されていることを示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)