Budget Amount *help |
¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
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Research Abstract |
高次脳機能の発現機構を解明するためには,ミエリン鞘形成を伴う神経回路の発達機構を明らかにすることが必須である.本研究では,オリゴデンドロサイトによるミエリン鞘形成機構に着目し,その際に利用されている神経情報伝達系,特にセカンドメッセンジャー系(cAMPとカルシウム)がどのように使い分けられているのかを,転写調節因子であるcAMP response element binding protein (CREB)のリン酸化という点に的を絞って検討した.培養は分化に合わせて各種の成長因子などを加えた培養液を用いて行なった.分化段階は特異的に発現してくる抗原の抗体(A2B5,O4,O1,MBP)で区別した.オリゴデンドロサイトにおけるCREBの発現を,「リン酸化されている場合」と「されていない場合」との局在の違いに注意して,分化段階別に免疫細胞化学法によって調べた.その結果,分化段階の進行に伴って,CREBおよびリン酸化したCREBの発現量が増加することがわかった.また,発現しているCREBのほとんどがリン酸化されていることも明らかとなった.次に,細胞分化にはcAMPが重要であることから,オリゴデンドロサイトのCREBリン酸化の経路としてcAMP-タンパク質キナーゼAの系について検討した。その結果,未成熟なオリゴデンドロサイトではCREBのリン酸化はタンパク質キナーゼAに依存しているが,成熟したオリゴデンドロサイトでは,タンパク質キナーゼAには依存しないことも示された.従って,未成熟のオリゴデンドロサイトと成熟のものとでは,リン酸化に使われているセカンド・メッセンジャー系が異なることが明らかとなった.
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