嗅覚受容体の発現に依存した嗅覚神経回路形成の分子機構
Project/Area Number |
13210028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20163868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名川 文清 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10241233)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥9,000,000 (Direct Cost: ¥9,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥9,000,000 (Direct Cost: ¥9,000,000)
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Keywords | 嗅覚系 / 神経回路形成 / 嗅神経細胞 / 神経軸索投射 / 嗅覚受容体遺伝子 / 遺伝子発現制御 / トランスジェニックマウス / ノックインマウス |
Research Abstract |
申請者らは、嗅細胞における嗅覚受容体遺伝子の相互排他的な発現、及び、それに依存して生じる嗅球への位置特異的な軸索投射の分子機構を解明する為、長年の懸案であったトランスジェニックマウスにおける嗅覚受容体遺伝子の発現系の確立を試み、YAC(yeast artificial chromosome)ベクターを用いることにより世界に先駆けて成功した(Nat. Neurosci. 3:687-693,2000)。我々の作製したマウスにおいては、460kbのYAC DNA上の嗅覚受容体遺伝子MOR28はIRES (internal ribosome entry site)を介してtau-lacZ遺伝子により標識されており、内在性のMOR28遺伝子は外来性の遺伝子を発現する細胞と区別する為、ノックインの手法を用いてIRES-gap-GFP遺伝子により標識されている。本研究において、このマウスを詳細に解析した結果、(1)外来性及び内在性のMOR28遺伝子は個々の嗅細胞で相互排他的に発現すること、(2)外来性或いは内在性の遺伝子を発現する嗅細胞の投射先は隣接しているが異なる糸球であること、(3)それぞれの遺伝子を発現する嗅細胞の軸索の選別と収斂はpathfindingの過程ではなく、糸球構造の形成に伴って生じることが明らかとなった。また、嗅細胞の嗅球への軸索投射に関して、トランスジェニック・ノックインマウスを用いて解析したところ、嗅覚受容体遺伝子の遺伝的背景、遺伝子標識の種類、染色体上での位置などが、軸索投射を規定するパラメーターになり得ることが示唆された。 次に本研究では、これ迄の解析からMOR28遺伝子の発現制御には、その上流約100kbのDNA領域が重要であることが示されているので、この領域に予想される制御エレメントを、様々な欠失を導入することにより絞り込んでいる。最近、マウスとヒトのゲノムプロジェクトにおいて、MOR28及びそのヒトortholog遺伝子クラスター領域に関するDNA塩基配列がそれぞれ決定され、私共の解析により、MOR28遺伝子の転写開始点上流約70kbに、唯一、双方で相同性の高い2kbの領域が同定された。興味深いことに、MOR28遺伝子の上流に存在するこの相同性領域を欠失させたトランスジェニックマウスでは、このクラスターに属する3つの受容体遺伝子の発現が同時に消失した。この観察は、嗅覚受容体遺伝子の発現がクラスターのレベルで制御されており、一つの受容体遺伝子が選択される前に、一つのクラスターがchoiceされる可能性を示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)