新しいポリグルタミン病SCA17(TBP病)のモデル動物系の作成と分子病態解析
Project/Area Number |
13210034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 浩一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40282644)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
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Keywords | ポログルタミン病 / SCA17 / 転写因子 / TATA結合蛋白(TBP) / 線虫(C. elegans) / モデル動物 / 凝集体 / 脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
我々は遺伝子未同定の遺伝性脊髄小脳変性症の中から新たに基本転写因子TBPのポリグルタミン伸長による9番目のポリグルタミン病を見いだし、これをSCA17として昨年の学会報告に引続き、本年度論文報告をした。ポリグルタミン病における神経細胞死には共通の病的カスケードが想定されており、近年ポリグルタミン病研究の興味の中心は、神経細胞死の分子病態メカニズムとその抑制(治療)に向かっている。責任遺伝子産物中のポリグルタミン鎖が核内に移行する事が重要視されており、核内移行に引続きCBP、p300を中心とする転写調節因子やヒストン蛋白脱アセチル化酵素(HDAC)が影響を受ける可能性が言われている。本年度、我々はこれらの転写調節の中心に位置するTBPの異常を利用し、ポリグルタミン病のメカニズムを解明することを目的としてトランスジェニック線虫によるモデル動物系の作成を試みた。 SCA17患者リンパ球よりRT-PCRにより全長の伸長TBP cDNAを得、これを線虫の神経特異的プロモータH20下流につないだコンストラクトpPD49.26(H20)-TBP Q37とQ56を作成した。さらにこれらのコンストラクトをtemplateにしてPCRを行い、Q93、Q168、Q199を作成した。Q37とQ199をマーカー遺伝子dpy-20とともにdumpy mutantにトランスフェクションし、dpy-20のみ、Q37とdpy-20、Q199とdpy-20をトランスフェクションしたtransgenic lineを各3ラインづつ得た。幼若線虫(L1〜L4)、成虫早期には各ライン間には行動異常・形態異常は認められなかったので、老化線虫に於いてphenotypeの解析を行った。老化Q199は一見locomotionは正常で、egg laying等に異常なく、老化dpy-20あるいは老化Q37と明らかな差を認めなかった。Dye filling test(ASH neuron assay)では染色性の落ちたneuronは各ライン間で有意な差を認めなかった。化学走性(chemotaxis assay)に関しては、一部のQ199ラインで低下を示したが、全体では有意差を認めなかった。抗ヒトTBPN末モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検討では、dpyラインでは線虫のauthentic TBPは染色されず、Q37ラインでは発現したヒトTBPにより神経細胞核が瀰漫性に染色された。これに対してQ199ラインでは神経細胞核の瀰漫性染色性は失われ、核内あるいは核近傍の細胞質内に凝集体を認めた。以上より全長のTBP遺伝子(Q37とQ199)を神経細胞特異的に発現させたトランスジェニック線虫を樹立し、Q199特異的に核内あるいは細胞質内凝集体を呈するポリグルタミン病モデルを作成したものと考えた。今後このQ199ラインを解析し、ポリグルタミン病のメカニズムを探ってゆく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)