Budget Amount *help |
¥7,700,000 (Direct Cost: ¥7,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥7,700,000 (Direct Cost: ¥7,700,000)
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Research Abstract |
平成13年度は以下の研究を実施した. (1)健常者および失書患者(頭頂葉損傷患者)に対して,矢上面における到達往復運動を,運動時間を変化させて実施した.健常者と頭頂葉損傷患者の運動時間に対する手先高さ,躍度,の比較を行った結果、矢上面運動実験の結果より,健常者(7名)においては全員で運動時間が短くなると経由点高さが低くなる傾向がみられた.定性的には運動時間が短いほど指令トルク(運動指令)の変化が大きく,経由点高さが低いほど指令トルク(運動指令)の変化が小さいことから,この傾向は運動時間が短くなることによって失われる運動の滑らかさを,経由点の高さを低くすることで確保していると考えることができる.しかし,頭頂葉損傷患者(5人)のうち3人の患者では運動時間が短くなっても経由点の高さが低くならなかった.これは,この3人の患者においては滑らかさを確保するための手先の高さの制御が出来ていない可能性が考えられる.そこで,健常者と頭頂葉損傷患者の手先の滑らかさを比較するために,手先躍度を計算し比較した.その結果,健常者と違う傾向のみられた頭頂葉損傷患者の躍度は健常者に比べ運動時間とともに大きくなる傾向があった.これより,運動時間が短くなっても手先の高さが低くならなかった3人の患者においては,滑らかさを確保するための手先の制御が行えていないことが示唆された.また,計算機シミュレーションにおいて,運動指令計算(関節指令トルク)の逆ダイナミクスモデルにノイズが入った場合の軌道生成シミュレーションを行った結果,大きなホワイトノイズを混入すると,頭頂葉損傷患者のような傾向を示すことを確認した.今後は,頭頂葉損傷患者において,損傷部位の違いによる矢上面運動結果の違いについて検討していくとともに,脳内部位における書字中枢の検討を進める. (2)3次元空間上のヒト腕2点間到達運動において,終点での腕姿勢が,最適化原理に基づいた規範(関節角躍度最小規範,トルク変化最小規範,指令トルク変化最小規範)によって予測可能かを検討した.実測腕姿勢と予測腕姿勢を比較した結果,指令トルク変化最小規範が最もよく予測することを確認した.
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