神経軸索・樹状突起の運命決定と神経細胞の極性形成機構
Project/Area Number |
13210066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00169377)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Keywords | 神経細胞 / 極性形成機構 / CRMP-2 / microtubules / ASIP |
Research Abstract |
神経細胞は通常一本の軸索と複数の樹状突起という異なる突起を形成し、樹状突起から信号を入力して軸索から信号を出力する。しかし、神経細胞の極性がいかにして形成されるのか、その分子機構はほとんど理解されていない。最近、我々はCollapsin response mediator protein-2(CRMP-2)を一次培養海馬神経細胞に高レベル発現させると、軸索が複数形成されることを見出した。反対にCRMP-2のドミナントネガティヴ体を発現させると、軸索の形成が阻害されて樹状突起のみを持つ神経細胞が生じた。さらに、成長しつつある軸索の遠位側に内在性CRMP-2が濃縮していることも明らかにした。以上の結果は、CRMP-2が神経細胞の極性形成および維持に重要な役割を果たすことを示している。本研究の目的は、CRMP-2を手掛りとして神経細胞の極性形成機構を分子レベルで解明することである。 本年度、CRMP-2の作用機構を明らかにする目的で、CRMP-2に特異的に結合する分子をyeast two-hybrid法、アフィニティークロマトグラフィー法及び免疫沈降法により網羅的に検索したところ、tubulin、actin、synaptojanin、copine、ASIP、kinesin、LARG(RhoGEF)などの極めて興味深い分子がCRMP-2に結合することが判明した。同定した結合蛋白質の中でも、tubulinに関して精力的に解析を行った。その結果、CRMP-2は既知のmicrotubules結合蛋白質とは異なり、α-及びβ-tubulinからなるtubulin heterodimerに結合してheterotrimerを形成し、microtubules重合能を著しく高めることを明らかにした。このような形式でmicrotubulesの重合を促進する分子は知られておらず、細胞生物学的にも極めて興味深い。また、我々が同定したCRMP-2結合蛋白質のASIPは線虫からヒトまで保存されている極性決定分子であるとの報告がある。ASIPがCRMP-2と同様に成長しつつある軸索の遠位側に濃縮して存在することも見出した。これらの結果から、CRMP-2による神経細胞の極性形成機構の一部が解明されたと考えられる。従って、平成13年度の研究計画はほぼ達成されたものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)