知的障害を呈する神経堤発達障害の病因遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
13210160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
若松 延昭 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 部長 (60274198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 憲一郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究員 (30291173)
山田 裕一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 室長 (70191343)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥6,900,000 (Direct Cost: ¥6,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥6,900,000 (Direct Cost: ¥6,900,000)
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Keywords | ZFHX1B / SIP1 / ヒルシュスプルング病 / 知的障害 / てんかん / 神経呈 / 脳発達障害 |
Research Abstract |
[緒言]発達障害患者には、脳発達障害・特徴的な顔貌・先天性心奇形・骨形成異常などの様々な症状が合併して出現する。このような症候性知的障害の病因となる遺伝子は正常の脳あるいは他の器官の形成に必須であり、おそらく胎生期の脳神経の分化・発達に重要な役割をしていると考えられる。我々は2年前より、愛知県心身障害者コロニーの中央病院小児外科で30年以上にわたり加療してきた患者の中から、脳発達障害(知的障害、てんかん、運動発達遅滞)と神経堤障害(小頭症、特徴的顔貌、先天性心奇形、巨大結腸症)を呈する5名の患者に注目して、病因遺伝子の同定を行ってきた。本年度、同遺伝子を同定したので報告する。 [結果と考察]1名の患者に染色体2q22と13q22との間で相互転座が認められたため、2q22の転座部位の詳細な解析を行い、同部位に局在するZFHX1B(Smad-interacting protein 1 : SIP1をコードする)遺伝子が本症の病因遺伝子であることを初めて明らかにした(文献1)。同遺伝子異常は他4名中3名の患者にも同定され(ナンセンス変異とフレームシフト変異)、全ての変異はdenovoで出現していた。Sip1は、1999年にマウス胚よりSmad1に結合する蛋白質として単離されている。同蛋白質はtwo handedのzinc fingerドメインを持ち、標的遺伝子の転写の抑制を行っていると考えられている。その後、新たに巨大結腸症のない7症例からもZFHX1B遺伝子の遺伝子異常が同定された。遺伝子異常が認められる11症例の臨床症状と遺伝子変異の関連を検討した結果、(1)染色体転座のある症例以外の全患者から、ナンセンスあるいはフレームシフト変異が同定された。(2)上記臨床症状の全てが出現している症例は少なく、本症に見られた先天性心奇形(PDA)は巨大結腸症を伴った症例に限られていた。さらに(3)同じ遺伝子変異がある患者でも症状が異なることが明らかになった。(文献2)。以上、ZFHX1B遺伝子変異は、精神運動発達遅滞と特徴的な顔貌のみが見られる症例から、あらゆる神経堤障害が合併している症候性知的障害の症例まで様々な患者から同定された。愛知県心身障害者コロニーにおいて11名の患者が見出されたことは、ZFHX1B遺伝子が神経堤障害を呈する症候性知的障害の主要な病因遺伝子であることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)