癌ウイルスEBV制御因子の癌化に関わる機能発現機構の解析
Project/Area Number |
13214033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川口 寧 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | EBV / EBNA-LP / BGLF4 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年ヒトの癌ウイルスとして重要度が増しつつあるEBVの3つの腫瘍関連制御因子、EBNA-LP、EBNA-2およびBGLF4に焦点を絞り、これらウイルス制御因子の機能発現機構を主に宿主細胞機構との相互作用の観点より効率的に解析することにある。本年度は以下の結果を得た。 (i)EBNA-LPは、核マトリックスに局在すること、また、宿主細胞キナーゼによってリン酸化を受けることが知られている。我々は、EBNA-LPの宿主細胞におけるEBNA-LPの核マトリックッス局在およびリン酸化の生物学的意義の解明を目的として、EBNA-LPの核マトリックッス局在シグナルおよびリン酸化部位の同定を試みた。まず、EBNA-LPの核マトリックス局在に必須の部位を同定し、その部位にアラニン置換を施した変異体を作製した。この変異体は核マトリックスにも核にも局在せず、また、EBNA-LPの主要な機能であるEBNA-2との協調的なLMP1誘導能も失っていた。次に、宿主機構によるEBNA-LPの主要なリン酸化部位を解析し、35番目のセリン残基(Ser-35)であることを決定した。このセリン残基をアラニンに置換した変異体はEBNA-2との協調的なLMP1誘導能を有していなかったが、グルタミン酸に置換した変異体では野生体と同程度のLMP1誘導能を有していた。以上の結果は、EBNA-LPの機能、少なくともEBNA-2との協調的な機能には、宿主機構による核または核マトリックスへの局在と宿主キナーゼによるSer-35のリン酸化が必須であることを示している。 (ii)EBVがコードするウイルス特異プロテインキナーゼであるBGLF4に関しては、バキュウロウイルス系を用いて大量発現・精製系を確立した。また、精製されたBGLF4はプロテインキナーゼ活性を有していた。さらに、BGLF4の宿主標的因子の1つとして翻訳因子EF-1δを同定した。BGLF4は、EF-1δ等の宿主因子をリン酸化することにより、EBVの増殖・生存に寄与していることが示唆された。また、本研究において確立されたBGLF4の発現・精製系は、今後のBGLF4研究に大きく貢献するものと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)