Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
Mat-8はFXYDファミリーに属する推定分子量8kDaのTypeIの膜たんぱく質である.Mat-8については1995年にMorrisonらが乳癌のマーカーとなる可能性を指摘したが,たんぱく質レベルでの研究や生理機能の検討は行われていない.本研究ではFXYDファミリーがP-type ATPaseの機能調節たんぱく質として働くという事例をもとに,Mat-8が胃プロトンポンプの調節たんぱく質として機能する可能性を検討した. 1.ヒト各組織におけるMat-8の発現状況を観察したところ,胃,前立腺,結腸,胎盤などにmessageの発現が観察された. 2.ヒトの乳がん組織由来の培養細胞のほか,胃腺がん(中分化および低分化腺がん)7例,大腸腺がん5例でMat-8のmessageの発現が観察された.これらの培養細胞や組織では胃プロトンポンプのmessageの発現は観察されなかった, 3.Mat-8の推定アミノ酸一次構造をもとにして,細胞内領域,細胞外領域に対するペプチド抗体を作製した.作製した抗体はリコンビナントMat-8やMat-8の融合たんぱく質と特異的に反応したが,組織中のnativeなMat-8を検出できなかった. 4.Mat-8とGFPの融合たんぱく質を調製してCHO細胞やHEK-293細胞に発現させると,ERでの発現が観察された.細胞表面に発現するためには何らかの機構や他のたんぱく質との相互作用が必要と考えられる. 5.Mat-8と胃プロトンポンプをHEK-293細胞に強制発現させて免疫共沈澱を行ったが,Mat.8と胃プロトンポンプの会合は観察されなかった. 以上のようにMat-8のmessageについては上皮組織を中心に発現し,乳がんにおけるマーカーとするには問題がある.Mat-8と胃プロトンポンプが直接に相互作用すると云う考え方を支持する積極的な結果は現在のところ得られていない.
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