新たな膜ドメインとしての脂質滴:細胞増殖・ストレス応答への関与
Project/Area Number |
13216046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 寛 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20282387)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | 脂質滴 / 膜ドメイン / カベオリン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脂肪滴は一部の特殊な細胞だけに見られる中性脂質の貯蔵のための構造であると考えられてきた.我々は,カベオラを構成する膜蛋白質であるカベオリン,特にカベオリン-2が脂肪滴表層に存在しうることを示した.カベオリンはスフィンゴ脂質とコレステロールに富む膜ミクロドメインに局在してカベオラ陥凹を形成し,コレステロールの細胞内輸送や様々なシグナル伝達関連分子の機能制御などに関与すると考えられている.カベオリン-2の一部を改変した分子の挙動を解析した結果より,カベオリンは膜蛋白質として合成されたのち,脂肪滴表層に輸送されると考えられた.脂肪滴への局在はカベオリン-2だけが単独で発現する細胞で最も顕著であるが、カベオリン-1,2が共存する細胞でも小胞体・ゴルジ間の輸送を阻害すると観察された.また脂肪滴に局在するカベオリン-2は,膜ミクロドメイン成分が濃縮する軽い浮遊性画分に回収された. 脂肪滴にはカベオリン以外にも膜ミクロドメインに存在する分子が局在する.カベオリンなどの挙動は,脂肪滴の表層が一種の膜である可能性を示唆する.脂肪滴表層の構造に関する知見を得るために,精製脂肪滴を急速凍結し,無固定,無染色のまま液体ヘリウム温度で,最小限の電子線照射で写真撮影した.大半の脂肪滴の表層は1本線として観察され,脂肪滴表層が燐脂質一重層であることを示した.また脂肪滴の脂質組成を薄層クロマトグラフィーで解析すると,中性脂質とともにフォスファチジルコリン(PC),コレステロールが主要な成分として認められた.さらに質量分析法で解析すると,PCの脂肪酸組成は粗面小胞体と酷似していたが,リゾPCの脂肪酸組成は明らかに異なり,単純に小胞体膜に由来するものではないことを示唆した. 以上の結果は,脂肪滴表層が燐脂質とコレステロールで形成される脂質一重層(hemi-membrane)であることを示す.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)