Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Research Abstract |
研究目的:扁平上皮癌の増殖・浸潤・血管新生に重要な働きをしていると考えられるFGF, FGF結合蛋白HBp17およびFGF受容体の発現を蛋白および遺伝子レベルで検討すると共にFGFR遺伝子のチロシンキナーゼ領域の変異を検討し,血管新生,転移,予後との関連を明らかにする。さらに,これら遺伝子のアンチセンスDNAを扁平上皮癌細胞に導入し扁平上皮癌の分子標的診断・治療の可能性を探求する。 要約:唾液腺癌細胞に野生型KGFR遺伝子を導入すると,in vitroでの増殖能は著しく低下し,アミラーゼやラクトフェリンの発現上昇およびアポトーシスが誘導された。また,ヌードマウス背部皮下移植KGFR導入唾液腺癌細胞の増殖も低下し,一部のクローンでは造腫瘍性を失ったことから,FGF受容体遺伝子を標的としたヒト唾液腺癌の遺伝子治療の有用性が強く示唆された。また,71症例中44症例(62%)の口腔SCCにFGFR3の2128番目の塩基グアニンのチミンへの変異(G2128T変異)を認め,同変異は697番目のコドンglycinのcystineへのアミノ酸置換(G697C)を示唆した。また,免疫組織学的検討の結果,変異を有する症例では,FGFR3蛋白の細胞膜での過剰発現を認めたが,変異のない症例では,FGFR3は細胞質および核に局在し,その発現強度は変異症例と比較して低下していた。さらに,遺伝子組み替えWTおよびMT-FGFR3-TK蛋白のリン酸化活性を比較した結果,MTではWTに比べてTKリン酸化活性が上昇していることが明らかとなった。 考察:FGFsは口腔扁平上皮癌の自己増殖促進因子・血管新生因子として機能していること,HBp17/FGFBPはFGFの活性化や扁平上皮の癌化と密接に関与していること,さらに,口腔癌においてFGFRのチロシンキナーゼ領域の変異を伴う機能異常が存在することが強く予想された。したがって,上記分子・遺伝子は口腔癌の自己増殖能のみならず血管新生能にも密接に関係した分子標的と考えられた。
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