Research Abstract |
WWW空間の中に埋蔵されたコンテンツを有効に活用するためには,膨大なWWW空間の中から,目的とする情報を発見するための検索手法の確立が,本質的に重要になってくる。そのためには,より高次の検索システムに関する工学的研究が重要であることと同時に,そのシステムを用いる人間の探索法に関する認知科学的研究が不可欠となる。以上の問題意識に基づいて,本年度は,科学的発見過程の枠組みからWWW空間の探索過程のモデル化を行った。モデルの基本的な考え方は以下のようである。 一般に,科学的発見過程は,理論(仮説)とデータ(実験)のインタラクションの過程としてモデル化することができる。科学者は,仮説を形成し,実験を計画・実施し,その実験結果からのフィードバックを得る中で,順次仮説を精緻化させていって,最終的な真理(解)に到達する。この枠組みに基づき,WWW空間における各々の「ページ」を「データ」,その「ページを探索するための視点」(例えば,探索エンジンにおけるキーワードの選択等)を「理論」と対応づけて考えた。 そのモデルに基づき,WWW探索の専門家(エキスパート)と初心者(ノービス)を被験者として,特定の情報を検索する課題を課し,その探索過程を比較,検討した。具体的には,上記のモデルに基づいて,個々の被験者の探索過程をトレースし,被験者の行動を,統一のスキーマの上で比較,検討した。分析の結果,エキスパートがWWW探索に用いる知識を明らかにした。
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