赤痢菌の粘膜上皮感染を決定するエフェクター蛋白質と微小管の相互作用の解明
Project/Area Number |
13226012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70114494)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | 赤痢菌 / 感染 / タイプIII分泌系 / エフェクター / 細胞侵入 / チュブリン |
Research Abstract |
赤痢菌の細胞侵入には本菌のタイプIII系を通じて分泌される多くの(20数個)エフェクターが関与していることが示唆されている。しかしながら、赤痢菌の上皮細胞に対する貧食誘導に直接作用するエフェクターの実体はいまだに不明な点が多い。エフェクターのひとつであるVirAは遺伝学的な方法により細胞侵入に重要であることが我々の研究室で明らかにされていた。そこで本研究ではvirAの赤痢菌の細胞侵入に果たす役割を解明するために以下の実験を行ない、それが本菌の感染に中心的な役割を果たす新規な機能を有するエフェクターであることを明らかにした。 VirAはαβ-チュブリンに特異的に結合し、その結合はVirA 1分子に対してαβ-チュブリンが5分子であった。チュブリンの重合およびマイクロチュブリンの安定性に対してVirAはいずれも阻害的に働き、また蛍光標識マイクロチュブリンにvirAを添加するとチュブリン繊維の断片化が引き起こされた。VirAをHeLa細胞中で強発現させると細胞周囲からラッフル膜が生じ、細胞内でVirAはマイクロチュブリンと極在していた。VirAによるHeLa細胞からのラッフル形成誘導はVirAをHeLaへ微量注入しても認められた。赤痢菌のHeLa細胞侵入にともないRac1が活性化されるが、virA変異株ではそれが著しく阻害された。HeLa細胞をマイクロチュブリンの安定化阻害剤であるノカダゾールで処理し、一過性に細胞内のマイクロチュブリンの安定性を阻害すると、ラッフル膜の誘導が促進すると共に赤痢菌の細胞侵入はVirAの有無にかかわらず促進された。さらに赤痢菌の細胞侵入部位では破壊されたマイクロチュブリン繊維にVirAが極在していることが確認された。本研究により、VirAはチュブリンへ結合しマイクロチュブリンの破壊を促進する新規なエフェクター蛋白質であることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)