Research Abstract |
IRF (interferon regulatory factor)-7遺伝子欠損マウスを作製し,このマウス由来の胎仔線維芽細胞(MEF)を用いて,ウイルス感染時におけるinterferon (IFN)産生について検討を行った.Northern blottingの結果,IFN-αのmRNAの誘導が全く認められず,IFN-βのmRNAの発現も著明に減弱していた.同様の結果が,IRF-7遺伝子欠損マウスの脾細胞についても得られた.以上の結果より,IRF-7を介したpositive feedbackメカニズムの重要性が確証された. 次に,樹状細胞の活性化におけるIFN-IRF系の役割について分子レベルで検討した.樹状細胞は,骨髄細胞をGM-CSF存在下で6日間培養した後,MACSでCD11c陽性細胞のみをsortして得られたものを用いた.その結果,IFN-βが,pathogen-associated molecules (PAMs)である,lipopolysaccharide (LPS)やdouble strand RNA (dsRNA),非メチル化DNAのCpGによっても,誘導されることが示された.しかしながら,IFN-αの誘導はpolyI : C刺激時においてのみ認めた.IRF-3遺伝子欠損マウス由来の樹状細胞においては,LPSやpolyI : C刺激後においてIFN-βの発現が著明に低下していたが,CpG刺激後においてはわずかに低下を認めるのみであった.一方IRF-7遺伝子欠損マウス由来の樹状細胞においては,polyI : C刺激後のIFN-βの発現誘導は減弱したが,LPS刺激後においてはあまり変化を認めなかった.さらに,IFNAR1遺伝子欠損マウス由来の樹状細胞においては,polyI : C刺激後,MHC class IIのupregulationは正常に起こるが,MHC class Iやcostimulatory moleculesのupregulationがおこらず,またallo stimulatory activityも特にCD8T細胞に対して著しく低下していた.しかしながら,PAMs刺激後共通に起こることではなく,LPSやCpG刺激後allo stimulatory activityにおいて,IFNAR1遺伝子欠損マウスと野生型マウス間においてpolyI : C刺激時のような著明な差は認められなかった.以上の結果より,PAMs刺激において,樹状細胞はToll-like receptorを介して様々なeffector分子とともに,IFNを誘導し,その誘導には,IRF-3/7が関与していることが示されたが,ウイルス感染とは異なったシグナルカスケードが関与していることが示唆された.また,特にdsRNA刺激を受けた樹状細胞において,IFN-α/βによってCD8+T細胞の応答をより増強する方向に働くことも示唆された.
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