単純ヘルペスウイルスの病原性発現におけるアクセサリー遺伝子の役割
Project/Area Number |
13226037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60115615)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | 単純ヘルペスウィルス / 病原性 / ul56遺伝子 / 膜蛋白質 / アクセサリー遺伝子 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)は少なくとも74種の遺伝子をコードするが、その半数以上は培養細胞での増殖には必須ではないアクセサリー遺伝子であることが明らかにされている。本研究はHSVの病原性発現におけるアクセサリー遺伝子の役割、作用機構を明らかにしようとするものである。マウスに対する病原性発現におけるUL56の重要性についてはBeckerのグループによる一連の研究があるが、その役割や機能については全く分かっていないといって良い。我々もUL56欠損ウイルスの病原性については、その特性を確認したが、特異抗体、真核発現系などを用いた解析から、この蛋白質が小胞輸送に関わることを示唆する結果を得た。 UL56遺伝子は、塩基配列より235個のアミノ酸からなる蛋白質をコードしていることが予想された。大腸菌における発現系を作製し、精製したGST-UL56融合蛋白質を用いて特異抗体を作製した。この抗体はHSV2型感染細胞の35,34,33,32,31及び30kDa蛋白質と特異的に反応した。Vero細胞でのUL56単独発現では31、30kDaの蛋白質のみを検出した。HSV2型では1型と異なり、開始コドンの10アミノ酸上流部位にATGが存在する。上流部を含む発現系を作製し検討したところ、34,32,31,30 kDa、の4本のバンドが検出された。以上の結果は、上流のATGからも翻訳が開始されていることを示唆するものである。また、蛍光抗体法による観察では感染6時間後より検出され、ゴルジ体のマーカーGolgi58KProteinと共局在した。より感染の後期ではUL56蛋白質は核周囲の部に集積すると同時に、細胞質にも顆粒状に検出された。単独発現では、ゴルジ体への集積像とともに細胞質に顆粒状に分布し、後者はearly endosomeのマーカーEEA1と共局在した。さらに、界面活性剤に対する挙動、sucrose gradient fractionationによる解析の結果から、UL56蛋白質はlipid raftsと会合していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)