ジフテリア感染モデルマウスの作製とその発症機構の解析
Project/Area Number |
13226060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 亮 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (10213323)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | ジフテリア毒素 / ジフテリア毒素受容体 / HB-EGF / ノックインマウス / 増殖因子 / ジフテリア心筋炎 |
Research Abstract |
ジフテリア心筋炎は重傷ジフテリアに合併し、発病後2〜3週目頃急性心不全に陥り死亡する重要な合併症である。しかしその発症メカニズムについては、それがジフテリア毒素(DT)の毒性によるものなのかどうかということをも含め、ほとんど解明されていない。ジフテリア心筋炎の発症機構の解明が遅れている大きな要因の一つは、適切なモデル動物を用いた感染実験系が確立されていないことである。申請者らはこれまでジフテリア毒素受容体(DTR)の研究を、DTの細胞内侵入機構とDTRの生理的機能の両面から行ってきており、DTRの実体が膜結合型増殖因子HB-EGFであることなどを明らかにしてきた。本研究の目的はマウスのDT非感受性(DT非結合性)を利用して、DTと結合できるヒト型DTR/HB-EGFを心臓特異的に発現するノックインマウスを作製し、これにDTを投与することによって、ジフテリア心筋炎を誘導するモデルマウス実験系を確立し、DTによる心筋炎発症機構を解明することである。今年度、申請者らは、HB-EGFの膜型から分泌型への転換機構の生理的重要性を調べるために、膜貫通部位を欠失した変異HB-EGFを発現するノックインマウスを作製し解析したところ、種々の組織の発生異常が認められた。これらの中で特に心臓において著しい心室肥厚が観察され、HB-EGFがマウスの心臓の生理機能に重要な役割を果たしていることを明らかにした(論文投稿中)。このことからもジフテリア心筋症が、ジフテリア毒素による心臓におけるHB-EGF機能阻害のために起こっている可能性が示唆される。そこでまず、ジフテリア発症モデルマウス作製のため、ヒト型HB-EGFをコードするコンディショナル・ターゲティングベクターの作製をおこなった。マウス型HB-EGF cDNAにDsRedをIRESで連結し、通常はマウス型HB-EGFがHB-EGFのネイティブ・プロモーターによって発現するようにしておき、組織特異的Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとの交配によってコンディショナルにマウス型HB-EGFを欠失させ、同時にヒト型HB-EGF(マウス型HB-EGFのEGFドメインのみをヒト型のEGFドメイン、即ちジフテリア毒素結合部位に変換したもの)がhrGFPと共に発現するように、ターゲティングベクターを構築する。Creによってヒト型HB-EGFが発現する部位は緑色蛍光によって判別する。これらがマウスHB-EGFゲノムDNAのExon1からExon6までをターゲットするように設計した。現在、このコンストラクトをマウスに導入中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)