感染防御、炎症誘導に関わるマクロファージの活性制御機構
Project/Area Number |
13226064
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 潔 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20309446)
|
Project Period (FY) |
2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Keywords | マクロファージ / IL-10 / Stat3 / 慢性腸炎 / ノックアウトマウス / サイトカイン |
Research Abstract |
これまでに、サイトカインのシグナルに関わるSTATファミリーの機能を、遺伝子欠損マウスを作製することにより解析してきた。その中で、通常の遺伝子欠損マウスが胎生致死となるSTAT3の機能を、マクロファージで特異的に欠失させると、IL-10の作用が消失しマクロファージは異常活性化を示すことを明らかにした。さらに、このSTAT3変異マウスは、強いTh1反応を示し、IL-10欠損マウスと同様に慢性腸炎を発症した。このことから、マクロファージでのIL-10によるSTAT3活性化が、マクロファージの機能抑制、さらには慢性炎症の抑制に必須であることを明らかにした。今年度は、STAT3変異マウスで発症する慢性腸炎が、どのような因子により引き起こされるかを解析した。まず、マクロファージ活性化に必須のIFN-γのシグナル伝達分子STAT1とSTAT3の二重変異マウスを作製した。このマウスでは、IFN-γの作用が消失しているにも関わらず慢性腸炎を発症した。他に炎症を引き起こすサイトカインとしてTNF-αやIL-12が知られている。そこで、これらのサイトカインとSTAT3の二重変異マウスを作製した。TNF-α/STAT3二重変異マウスでは、STAT3単独変異マウスと全く同様に慢性腸炎を発症した。一方、IL-12/STAT3二重変異マウスでは、Th1反応が軽減され、慢性腸炎が発症しなくなった。さらに、B, T細胞の欠損するRAG2欠損マウスとSTAT3変異マウスを交配したところ、この二重変異マウスでも、慢性腸炎の発症が抑制された。以上の結果から、STAT3変異マウスにおける慢性腸炎の発症には、サイトカインでは、各種の炎症誘導に関与するTNF-αではなく、主にマクロファージから産生されるIL-12が重要であり、T細胞の存在も必要であることが明らかになった。この結果は、慢性腸炎の発症の最初のtriggerにマクロファージの活性化があり、その結果炎症性サイトカインが種々産生されるが、その中でIL-12が大変重要であり、IL-12によるTh1反応の強い誘導が慢性腸炎の悪化を導くことが示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)