胸腺外分化T細胞の生理的リガンドの探索と感染防御における病因論的役割の解析
Project/Area Number |
13226065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 一郎 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (20206791)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | 粘膜免疫 / 胸腺外分化 / 粘膜系T細胞 / NKG2D / NKG2D ligand / 感染免疫 |
Research Abstract |
腸管上皮細胞の側底面には腸管上皮細胞間リンパ球(IELs)とよばれるCD3T細胞が上皮細胞6個に1個の割合で存在するが、その多くは胸腺外分化のT細胞である.これらCD8αα+sIELsの発達分化を制御する生理的リガンド分子は今なお不明のままである.最近ヒトγδIELsはストレスによって誘導されるMICAを認識すること,またNK細胞とγδT細胞に発現するNKG2D分子がMICAレセプターであることが明らかにされた.さらにRae-1とH60がマウスNK細胞のNKG2Dリガンドとして機能している可能性が示された.本研究ではCD8αα+sIELsの胸腺外分化の分子機構を明らかにする目的で腸管上皮細胞でのNKG2Dリガンドを含む生理的リガンドの同定を試みる.また生理的リガンドの発現を制御する外的要因についても検討を加える。 マウス小腸上皮細胞に発現するNKG2Dリガンドの探索:マウスNKG2Dの細胞外ドメインよりなるビオチン化NKG2Dテトラマーを作製し、フローサイトメトリー(FACS)法ならびに免疫組織化学的方法により,NKG2Dリガンドの探索を試みた.その結果,マウス小腸遠位部および大腸近位部粘膜絨毛の陰窩部上皮細胞層に限局してNKG2Dテトラマーと反応するリガンドが局在することが示された.またRac-1 βanti-sense RNAプローブを用いてIn situ hybridization法にてその局在を検討したところ,やはりマウス小腸遠位部ならびに大腸近位部粘膜絨毛の陰窩部上皮に限局してRae-1 β mRNAが発現していることが明らかになり,NKG2Dテトラマーを用いた場合とたいへん酷似した結果が得られた.以上の所見より胸腺外分化CD8αα+IELの機能分化を促す生理的なリガンドのひとつとしてRae-1β を代表とするストレス誘導性のNKG2Dリガンド分子が関与していることが強く示唆された.さらにこのRae-1βのヒトホモローグであるMICA分子をT3b promoterを用いて腸管局所に発現させた遺伝子導入(Tg)マウスを作製したところ,CD4/CD8αα両分子を発現した胸腺外分化IELのpositive selectionが著しく亢進することを見い出した.この所見からもRae-1 βをはじめとする環境ストレス誘導性MHC class Ib分子がIELの発達分化を制御することが支持された.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)