マラリア原虫抗原多型の進化に関する分子集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
13226123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田辺 和裄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40047410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 明 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60169563)
服部 哲也 大阪工業大学, 工学部, 講師 (00288755)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | マラリア原虫 / Plasmodium falciparum / 抗原 / MSP-1 / 多型 / 組換え / 進化 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の抗原多型の進化について分子集団遺伝学的解析を加え、以下の知見を得た。 1.タンザニアにおける熱帯熱マラリア原虫MSP-1遺伝子多型の連鎖不平衡 マラリアのholoendemic地域であるタンザニア東部Rufiji地区において1993年及び1998年に得た熱帯熱マラリア原虫約250株について解析を行った。異なるハプロタイプの重複感染率は77-87%で、平均ハプロタイプ数は3.4-3.8であった。これは異なるMSP-1対立遺伝子間の高い組換え頻度を示唆するが、この条件でMSP-1遺伝子ブロック6-16(3.5kb)において完全な連鎖不平衡を認めた。これはMSP-1における何らかの選択を示唆する。一方、MSP-1ハプロタイプの頻度分布は5年間では有意な差がなく原虫集団の遺伝的構成が継時的に安定していることが示唆された。 2.南太平洋バヌアツにおける熱帯熱マラリア原虫抗原多型の保存性 南太平洋バヌアツでは原虫の伝播が主にクローナルで、原虫集団における遺伝的変異の追跡的解析が可能となる。抗原多型の発生の頻度を求める目的でバヌアツ4島における抗原多型をシーケンス解析した。130株以上についてMSP-1ブロック2-6(1kb)、ブロック16-17(1kb)、及び、MSP-2多型領域(1kb)を解析した結果、MSP-1では6個、MSP-2では8個の対立遺伝子が認めたが、対立遺伝子間の塩基置換は連続的なものではなかった。重要なことに、島嶼瞬間で同一の対立遺伝子が数多く認められた。以上の結果は、バヌアツにおける抗原多型はバヌアツにおいて新たに発生したのではなく、外来性のものであり、抗原遺伝子多型が相当期間、保存的であることを示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)