熱帯熱マラリア原虫の細胞内寄生成立における抗酸化酵素系の役割の解明
Project/Area Number |
13226137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
河津 信一郎 国立国際医療センター, 研究所, 室長 (60312295)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | アンチオキシダント / ペルオキシレドキシン / マラリア / Plasmodium / 遺伝子発現 / 宿主寄生体相互関係 |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫ペルオキシレドキシン(Prx)の生理機能を明らかにする目的で、原虫1-Cys型および2-Cys型Prxの組換え体タンパク質について性状解析をおこなった。その結果、両組換え体Prxに過酸化水素に対する還元活性が認められた。また、2-Cys型Prxにはチオレドキシンペルオキシダーゼ活性が確認された。非還元SDS-PAGEで分離した原虫ライセートを抗Prx抗体とウエスタンブロット法で反応させたところ、2-Cys型Prxはホモダイマーとして検出された。一方、1-Cys型Prxはモノマーとして検出された。このことから、熱帯熱マラリア原虫の2-Cys型Prxは、他生物でのそれと同様に、チオレドキシン系のターミナルペルオキシダーゼとして機能していると推測された。一方、1-Cys型Prxは、チオレドキシン系に拘束されずに独立して機能する酵素と推測された。Prxの赤内型原虫各発育期における発現パターンをウエスタンブロット法で調べたところ、両Prxタンパク質の発現は、原虫での代謝の活性化に一致して栄養体/分裂体期に亢進した。このことから、熱帯熱マラリア原虫は、ヘモグロビン消化等の代謝過程から派生する内因性活性酸素種の消去にPrxを利用していることが推測された。最後に、1-Cys型Prxをマラリア原虫で過剰発現させたところ、クロロキンに対するIC_<50>値が親株のそれより有意に上昇し、1-Cys型Prxがクロロキンの殺原虫作用に何らかの関連を有することが示唆された。クロロキンの殺原虫作用の一つとして、原虫のヘモグロビン代謝系でのヘムの解毒を阻害して細胞内過酸化物を増加させる作用が知られているが、1-Cys型Prx過剰発現原虫ではこの作用が緩和された結果、クロロキンに対する感受性が低下したものと考察された。
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