時間分解振動分光法による蛋白質高次構造変化の機能に果す役割の解明
Project/Area Number |
13308039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
北川 禎三 岡崎共同研究機構, 教授 (40029955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 泰久 神戸大学, 分子サイエンス研究センター, 助教授 (60270469)
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Project Period (FY) |
2001 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥26,260,000 (Direct Cost: ¥20,200,000、Indirect Cost: ¥6,060,000)
Fiscal Year 2002: ¥9,880,000 (Direct Cost: ¥7,600,000、Indirect Cost: ¥2,280,000)
Fiscal Year 2001: ¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
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Keywords | 振動分光 / 時間分解共鳴ラマン / 共鳴ラマン / 赤外吸収 / 蛋白質ダイナミクス / 蛋白質高次構造 |
Research Abstract |
基質の脱着に伴う蛋白質高次構造の超高速ダイナミクスを調べるために、本研究では蛋白にミオグロビン(Mb)を、リガンドに一酸化炭素(CO)を用いた。一酸化炭素結合形ミオグロビン(MbCO)のCOは光で解離する。すなわち、MbCOのFe-CO結合は可視レーザー光照射により300フェムト秒以内に切れる。COは蛋白外に出ていき、蛋白はdeoxyMbの平衡構造に向かって変化していくが、その過程をピコ秒の時間分解共鳴ラマン分光法で調べた。主光源は1.5ps幅、82MHz繰り返し、平均出力0.7WのTi : sapphireレーザーで、それをNd : YLFレーザーの倍波(527nm)で増幅し、1kHz繰り返しのパルス列にしてから2系列に分け、各々の波長に変換した。光解離にはOPG法で変換した540nmのパルスを用い、ラマン散乱励起光としてはメタンの誘導ラマン散乱で得た442nmのパルスを用いた。両パルスの時間相関幅は2.3psで遅延時間のゼロは0.2psの精度で決まっている。この測定系は国際的にもトップレベルで、同レベルのデータをとれるグループは国際的にも無いと云える 光解離1ps後のスペクトルではFc-His伸縮(ν_<Fe-His>)は222Cm^<-1>に、ヘムの面外振動(γ_7)が300cm^<-1>に、側鎖C_βC_cC_d変角振動[δ(C_βC_cC_d)]が369cm^<-1>に観測された。ν_<Fe-His>及びγ_7バンドの面積強度を遅滞時間に対してフロットすると、γ_7は速い立ち上がりの後、一定強度を示したが、ν_<Fe-His>はその後20ps迄じわじわと強度増加を示した。解析の結果、これはMbCO形ではヘム面内に位置していた鉄イオンが、deoxy形でヘム面より0.3ÅだけHis側にずれる構造変化を反映している事がわかった。その変化の80%は非常に速いが残り20%が1〜20psで起こる。一方ν_<Fe-His>振動数は、時定数106±14psで低波数シフトしたが、ポルフィリン環のγ_7やδ(C_βC_cC_d)バンドはその様なシフトを示さなかった。また蛋白のない鉄ポルフィリンイミダゾール錯体のCO光解離でも、ν_<Fe-lm>はν_<Fe-His>.バンドと同じように強度の時間変化を示したが、振動数変化は示さなかった。したがってν_<Fe-His>の振動数の時間変化は、蛋白質の3次構造の時間変化を反映しているものと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)