Budget Amount *help |
¥46,020,000 (Direct Cost: ¥35,400,000、Indirect Cost: ¥10,620,000)
Fiscal Year 2002: ¥20,540,000 (Direct Cost: ¥15,800,000、Indirect Cost: ¥4,740,000)
Fiscal Year 2001: ¥25,480,000 (Direct Cost: ¥19,600,000、Indirect Cost: ¥5,880,000)
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Research Abstract |
本研究では,胆汁酸の腸管循環という一日の血中動態の変化から,胆汁酸が肝臓のサーカディアンリズムを制御する一因子であると仮定し,マウス初代培養肝細胞に対する胆汁酸の及ぼす影響の検討を行った.マウス初代培養肝細胞における胆汁酸濃度の動向を観察した結果,培地中の胆汁酸濃度が培養時間に伴い上昇および下降する濃度変化の振幅が認められ,in vivoにおける胆汁酸腸肝循環との類似性を確認した.また,培養肝細胞における培地中の胆汁酸濃度が,最大および最小となる時間における細胞内の遺伝子発現の比較を行った結果,多数の遺伝子の発現量が3倍までの間で変化していることが確認された.これらのことから,肝細胞内の遺伝子発現には胆汁酸の動態が大きく関わっていることが示唆された.そこで,in vivoの腸肝循環を模倣するため,初代培養肝細胞中で胆汁酸濃度を変化させた培養系を作り,遺伝子およびタンパク質発現の変化を観察することによって,胆汁酸がin vitroで肝実質細胞に与える影響を検討した.その結果,培養肝細胞中の胆汁酸濃度を変化させることにより,肝細胞内の各因子の遺伝子およびタンパク質の発現パターンが大きく変化することが認められた.さらに,タンパク質レベルでの発現においては,胆汁酸を断続的に加えることにより胆汁酸排出型トランスポーターであるMrp2の発現維持が可能であることが明らかになった.この胆汁酸排出トランスポーターの活性化は,薬物代謝が促進されるために必要不可欠な要素であり,腸肝循環を模倣した胆汁酸の断続的添加という刺激が,薬物代謝能の維持と促進に重要であることが示唆された.さらに,胆汁酸添加に伴って培養肝細胞内の遺伝子発現が変化することから,腸肝循環による肝臓内の胆汁酸濃度の変化は,SCNで発振したリズムに肝臓の機能を同調させるための一因であることが示唆された.
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