Project/Area Number |
13710109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
葛山 泰央 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (30324669)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 言説分析 / 歴史社会学 / 自己物語 / 幸福 / 社会契約説 / ネーション / 友愛 / 証言 / 集蔵体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自己を語る言説空間を歴史社会学的に再検討することにあるが、本年度は、この言説空間を、幸福というテーマとの関連で考察した。具体的には、社会が社会そのものを言説化するという意味で、いわば「社会の自伝」とも呼ぶべき、社会契約論的な言説と社会分業論的な言説という二つの自己物語の様態に注目し、それらを巡る政治哲学・社会哲学的な言説を再考するなかで、自己を物語ることと社会を物語ることとの関連性について考察した。 社会理論の近代は、これを社会契約説の<死>、すなわち社会契約説の言説的な葬送儀礼として捉え返すことができる。ルソーの『社会契約論』における、契約説の「限界的な」定式化から、デュルケームの『社会分業論』その他における、契約説の<死>を巡る様々な言説化、さらには、社会的領域の台頭や民主主義理念の動揺を巡る、現代の政治哲学・社会哲学的な考察に至るまでの、社会契約説の「拒絶的受容」の歴史を検討するなかで、社会契約説という言説の歴史(=言説史)を構想した。そこでは、社会契約説の<トラウマ的な反復>とも呼ぶべき事態が繰り返し引き起こされていることが確認された。社会理論の近代は、社会契約説を「葬り去る」という口実のもとに、社会契約説の自己否定的な形態、社会契約説の自己否認として姿を現してきたのである。 したがって「社会契約論から社会分業論へ」という定式化を行い、「社会の機能的な分化」に内属する視座から「国家学」や「国法学」を批判する(ルーマン)だけでは必ずしも十分でない。社会契約説の引き延ばされた<生>という、本研究の取り組んできた問題は、個人の幸福追求と社会の幸福追求を複雑に交錯させた、現代社会における「ネーション」の自己物語を解読する際にも、不可避の問題となることが予想される。
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