20世紀後半の学校教科書に表現された「歴史記述の意識」の変質に関する日米比較研究
Project/Area Number |
13710130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡本 智周 早稲田大, 助手 (60318863)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2001: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | 歴史教科書 / グローバル化 / ナショナリズム / ナショナルヒストリー / ナショナルアイデンティティ / カリキュラム分析 / 国民統合 / 国民教育 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀後半の日本とアメリカ合衆国で使われた歴史教科書の内容を分析し、そこに表現された「歴史記述の意識」(historiographical consciousness)の特徴を比較検討する教育社会学的試みである。公教育における歴史教育は、近代国民国家システムのなかでは国民統合の機能を果たすものである。国境を越えた人間活動の増大という20世紀後半に特徴的な社会変動が、その国民統合の論理にいかなる変容を迫ってきたのかを把握することが、本研究の目的である。 分析素材として取り上げたのは、1950年から2000年のあいだに日米で刊行された主として中等教育用の歴史教科書である。日米それぞれの当該領域における先行諸研究の現状に応じて、日本に関しては山川出版杜の『世界史』教科書の49の版を、アメリカに関しては様々な出版杜の101冊の教科書を収集し、ネイションに関する情報とその語られ方の変化をカリキュラム分析(ストーリーライン分析と画像分析)の手法で検討した。 本研究の分析からは、日米の両ケースにおいて、歴史教育がナショナルな枠組みを維持しながらも歴史を語るための視点を複眼化させていく現象を把握できた。その背景には、ネイション間を行き来する人間活動の増大に伴って歴史教育の方法と内容に向けられる視線が複数化したことが挙げられる。また50年のあいだに歴史教育内容がそのように変化するにつれて、教科書を通して伝達される国民統合の論理が、原初主義的なネイション把握より以上に近代主義的なネイション把握を基礎としたものへと推移していったことを指摘できた。20世紀後半の日本とアメリカの国民史教育に、脱<原初主義>という一つの共通した変化の傾向を見出せたことが、本研究におけるカリキュラム分析の成果である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)