Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究は1820年代から40年代にかけてアメリカ東部諸都市に勃興した幼児学校(infant school)について,その思想史的背景と実態について研究したものである。幼児学校の起源はロバート・オウエン(Robert Owen)がスコットランドで経営したNew Lanark紡績工場内に設立した「性格形成学院(The Institution of the Formation of Character)」の幼児保育・教育部門を起源としていた。本研究では,初年度にオウエンの幼児教育思想を考察するとともに,性格形成学院内の幼児学校の実態について世界遺産に登録すべく修復されている同学院を訪問調査によって明らかにした。 2年目の研究においては,アメリカへの幼児学校導入に尽力したスコットランド人ウィリアム・ラッセルが刊行したAmerican Annals of Education and Instruction,幼児学校の設立運営に関わったキリスト教会の動向(Christian Examiner, The Ladies Magazinesなどの資料から検討した)について考察し,慈善学校としての幼児学校の思想的基盤にニュー・イングランドにおける第2次信仰復興運動のエートスと新興中産階級の子ども観や教育倫理が強く働いていたことを明らかにした。 幼児学校は,Boston, Providence, Philadelphia, New Yorkに存在していたことが確認されたが,その実態を知り得る資料はThe Infant school society of the city of Bostonが発行している年次報告書,New Yorkで出版された初級読本や賛美歌集が現存することが分かった。また,Philadelphiaについては,Mathew Careyなる人物が1829年に出版したパンフレットが存在することをつきとめた。 これらの調査・研究において発見・渉猟した資料よって明らかにされた事実,幼児学校の歴史的意義については,論文・学会発表において公表していく予定である。
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