Project/Area Number |
13710176
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
大谷 奨 摂南大学, 国際言語文化学部, 助教授 (70223857)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 教育史 / 教育制度 / 実業学校 / 専門学校 / 接続関係 / 入学試験 / 中等教育 / 高等教育 |
Research Abstract |
本研究は、従来言及されることの少なかった実業学校と実業専門学校との接続関係を明らかにし、中学校に比較して傍系と位置づけられ、単純に完成教育機関として認識されてきた実業学校の進学機能についてその実態を明らかにしようとするものである。本研究の研究成果は以下の通りである。 1.佐々木享氏らによる先行研究から、戦前一貫して実業学校から同種の実業専門学校への進学は一定の開かれたルートとして存在しており、入学者に占める実業学校卒業者の割合は例外的として無視できるようなものではなく、実態として十分認知されるような数値であったことを再確認した。また、実業専門学校の学校要覧を確認することにより、各学校ごとに実業学校卒業者に対する受験上、履修上の配慮を探ったが、個別学校ごとに相当の強弱が見られること、また実際にその配慮の恩恵をうけた実業学校卒業者がどの程度であったのかを示す公の資料は不在であることが明らかとなった。 2.したがって『受験と学生』『中学世界』といった受験雑誌は有力な資料となるため、それらに掲載されている記事、投稿を分析した。しかしその大半は中学校在学者(および卒業者)をターゲットとしており、例えば商業学校出身者のための簿記会計、商業要項といった高等商業学校入学試験科目についての解説、勉強法などの記事は皆無に近い。また商業学校在学の読者も投稿において、その情報の少なさに不満を持っていること明らかとなった。 3.実業学校からの受験者の投稿や体験談によれば、受験準備はほぼ独学によるものが大半であった、大正後期に商業学校校長会が、各高商に神戸高商の入試方式(すなわち、商業出身者枠の設定)の導入を求めるなど、学校側としても実業-実業専門のルートに関心を示していた痕跡は見られるが、実際には実業学校からの受験者は準独学者的な受験準備を強いられたと考えられる。 4.当初予測していた大正末期からの専門学校の大学昇格運動による実業学校と元実業専門学校間の接続関係の断絶については、東京や神戸の商科大学が自校の予科よりも多くの定員を設定していたため、実質的にも高等商業学校出身者用の入学定員枠は確保されており、商科大学への昇格により、従来の商業-高等商業、だけではなくそこからさらに大学へという接続が設けられることになったことが明らかとなった。実業専門学校の昇格問題は一方で実業-実業専門間の門戸を狭めるが、他方で実業専門-大学のルートを確保することになるという両面があることを指摘できた。 5.実業学校と実業専門学校との関係について、総じて専門学校個別の配慮や事情、受験生個人の受験動機などが多様であり、制度的に存在する接続関係を確認するのみでは両者の関係の実態に迫ることが困難である、という方法論上の課題を明らかにすることができた。戦前の学校制度を分岐型として単純化することは、現在求められている高校教育の多様化のあり方を考える上でも克服されるべき認識である。
|