Project/Area Number |
13710186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長坂 格 神戸大, 助手 (60314449)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | フィリピン / イタリア / 家族ネットワーク / トランスナショナリズム / 文化の創造 / 家内労働 / 消費主義 / グローバル化 |
Research Abstract |
本研究は、フィリピンからイタリアヘの移住者を主たる対象として、イタリア都市社会におけるフィリピン人移住者の社会経済的位置、生活実態、各種人生儀礼の実態、等の調査に基づき、イタリア在住フィリピン人の文化創造の過程を記述分析することによって、文化人類学におけるグローバル化と文化の創造という主題への実証的・理論的貢献を果すことを目的とした。初年度に当たる本年度は、8月8日から9月4日にかけて、イタリア、ローマ市と、比較のためのスイス、チューリッヒ市においてフィリピン人の生活実態の調査を実施した。また、9月以降は、各種文献・統計資料の分析を進めた。これらの調査研究過程において、以下の点が明らかとなった。 (1)イタリア在住フィリピン人は、イタリア都市部における家内労働市場の主要な労働力供給者としての地位を確立しており、収入や社会保障の面において生活状況は相対的に良好である。 (2)その説明要因としては、社会的ネットワークの存在、イタリア都市部における家内労働市場の需要の拡大、イタリア政府による一連の移住者への権利付与の政策、家内労働市場におけるフィリピン人を頂点とするエスニック・ヒエラルヒーの存在、などが挙げられる。 (3)彼らの社会的ネットワークが、普段は仕事で別々の地域に居住する就業形態にも拘わらず強固に維持されている背景には、携帯電話による頻繁な連絡、休日の親族・友人とのアパートでの食事、そして誕生日や稀に子供の洗礼式や結婚式などの機会における共食、など日常的・非日常的接触がある。 以上の点から、イタリア在住フィリピン人の文化創造の調査研究において、非日常的な人生儀礼に加えて、日常的な相互行為を詳細に検討すること、彼らの生活状況を外側から規定する要因である移民政策、イタリア国内の労働市場の分析が不可欠であることが明確となり、今後の調査研究を進展させていく上で重要な知見が得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)