英国ロマン主義における「近代」の誕生と明治日本における「西欧近代」の受容と変容
Project/Area Number |
13710282
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
水越 あゆみ 帝京平成大学, 情報学部, 講師 (50239232)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | ロマン主義 / 浪漫主義 / 比較文学 / 北村透谷 |
Research Abstract |
申請者は平成13年度から14年度にかけて、西欧(特に英国)ロマン主義と明治浪漫主義との比較文学的研究を進めてきた。本研究では、西欧の様々な文学運動が移植され始めた明治20年代にロマン主義を積極的に受容し、その精神を体現することを試みた若き青年文学者達のグループ、「文学界」同人に注目した。彼等は、因習に囚われない真の「個人」の確立を目指し、「個人」の内面を描くことのできる新しい文学表現を模索した。それが、彼等が理解するところの「西欧近代」であり、西欧ロマン主義だったからである。だが彼等の多くは、西欧近代とロマン主義のどちらをも真に理解していたとは言い難い。日本と比して最も顕著な「西欧」の異質性を鋭敏に感じ取っていたのは、「文学界」同人のうちで唯一人、北村透谷のみであった。 明治20年代半ば、5年に満たない執筆活動期間のうちに書き綴られた透谷の評論の多くは、日本と西欧との本質的差異への深い洞察に基づいたものである。西欧的思考を特徴づける超越的・形而上学的志向性が、西欧を西欧たらしめている核であることを透谷は察知していた。彼は、西欧ロマン主義に顕著な超越への志向性に触れることにより、西欧そのものの本質をも把握したのである。だが結局透谷はその短い生涯において、「西欧」を自らの言語のうちに具現化し、西欧的超越性を血肉化することは出来なかった。透谷の評論には、日本語という非西欧語の中で超越への志向性が変容させられてゆくプロセスが先鋭的に顕れている。 本研究によって明らかになった透谷における西欧的思考の変容(或いは挫折)は、今後の比較文学的研究、近代日本研究、また「日本とは何か」という問いにおいても、有益な示唆をもたらすものであろう。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)