Project/Area Number |
13710313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
言語学・音声学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生井 健一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (80318766)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 日本語 / 形容詞 / コピュラ / 補文標識 / 副詞句 |
Research Abstract |
前年度の日本語の形容詞の研究に続けて、今年度は主に補文標識とされる「と」の研究に従事した。今日でもHe said that he was hungryと「彼はおなかがすいたと言った」の意味的な対応から、「と」は英語の補文標識thatに相当するものとするのが一般的である。しかしながら、日本語コーパスを丹念に調べた結果、以下のことが分かった。(1)「と」に導かれる従属節は対格表示を受ける直接目的語と共起できる。例「彼はおなかがすいたと文句をいった。」(2)「と」に導かれる節に対応する疑問語は「何」ではなく副詞句に対応する「どう」である。(英語ではもちろんwhat。)これらの発見が意味することは、英語においてthatに導かれる節が主動詞の直接目的語の機能を果たしているのに対して、「と」に導かれる節は副詞的な役割を果たしているということである。つまり、英語においてthat節は主動詞の項であるが、日本語の「と節」は付加部であるということ。こうなるともはや日本語の「と」は英語のthatに対応するものとは言えなくなり、「と」の補分標識という品詞分類の基盤が根本から崩される。この結果をもってして、改めて「と」の品詞分類の研究が始まることが期待される。 本研究のもうひとつのトピックである日本語の丁寧辞「ます」の研究から分かってきたことは、少なくとも疑問語疑問文の構成においては「ます」は英語の主語・動詞の逆転の役割を果たしているということだ。これに対して真偽疑問文においては「ます」の出現が必ずしも必要ではない。ここには疑問語のスコープを示す「か」の語源(orの意味を持つ「か」からの派生)が関わっているように思われるが、このことをシステマティックに解明するには時間が足りなかった。来年度以降の研究で論文にまとめたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)