表現の自由とプロバイダー(ISP)のコンテンツ責任に関する日米比較制度研究
Project/Area Number |
13720009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 いつ子 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (00262139)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 表現の自由 / プロバイダー / ISP / インターネット / コンテンツ責任 / 法 / 情報 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究課題であるプロバイダーのコンテンツ責任に関しては、アメリカでは、性的表現や著作権侵害等の個別領域における立法措置がいち早く採られたが、日本でも、本年度には、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」が施行されるなど、責任範囲の明確化に向けた制度整備が着実に進められ、また、裁判所では、日本型「ナップスター」と呼ばれるMP3ファイル交換サービスの提供者(東京地決平成14年4月11日・東京地決平成14年4月9日)や、匿名での名誉毀損発言が書き込まれた電子掲示板の管理運営者(東京高判平成14年12月25日)等の、「プロバイダー」の典型例とされる接続事業者ではない「中間媒介者」も、責任を問われる傾向がみられる。 その一方で、制度整備が進むにつれて、アメリカでは「デジタル・ミレニアム著作権法」に基づくクレーム処理が実務面で自由な表現活動を萎縮させると指摘されており、日本でも、今後、制度運用におけるネットの自由への規範的・実務的影響を検討する必要がある。加えて、規制の代替手段として注目されるフィルタリングに関しては、連邦政府補助金交付の条件として公共図書館にソフト利用を義務付けた連邦法につき第1修正の下で違憲判断が示された例もあり(A.L.A., Inc.v.U.S.,201 F.Supp.2d 401(E.D.Pa.2002))、現在の技術水準ではフィルタリングの精度に限界があることに留意すべきである。インターネットは、アーキテクチャ次第で特徴を変えられることこそが特徴であるとされるため、ネットにかかわる「制度」も、ひとたび整備すれば済むものではなく、制度が仕えるべき憲法的価値とその価値選択の基礎にある「統治」哲学に照らして、法規制・自主規制・技術的手段・教育的対応といった措置の組み合わせを不断に検証していくことが求められる。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)