東アジアにおける社会保障制度:政策決定過程の比較研究
Project/Area Number |
13720054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林 成蔚 北海道大学, 大学院・法学研究科, 講師 (20322787)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 台湾 / 韓国 / 東アジア / 社会保障 / 年金 / 健康保険 / 福祉国家 / 政治過程 / 台湾・韓国・日本 / 社会保障政策 / 福祉国家論 / 政策過程 |
Research Abstract |
東アジアにおける社会保障制度の政策決定過程を考察することを目的としている本研究の二年目の作業は、日本を参照基準に、90年代の台湾と韓国における社会保障制度の改革を比較分析することであった。研究調査においては、日本における改革のあり方が高齢化によって促されながらも、先行する制度の特徴に大きく影響されたことが確認された。公的年金制度に関しては基本的に二階建て制度を維持し、受給年齢の引き上げや拠出と給付の関連性を強化することによって対応してきた。一方、健保は財政改善と国庫負担の軽減を図るため、本人負担の引き上げが試みられた。その過程には両制度の断片性および各制度に関わる行為者の利益が強く影響を及ぼし、制度の「粘着性」が明確に観察された。 制度の成熟度と包括度の違いこそあるが、台湾と韓国においても日本と同様に、社会保障制度の改革過程において、既存の制度が造出した行為者および制度自体の特徴が、改革のコースを大きく規定した。しかしながら興味深いのは、健保に関しては台湾と韓国は異なる理由によって、相似する制度に辿りついた。一方で、年金に関しては収斂する傾向を全く見せていない。つまり、両国とも90年代の改革を経て、一元化された皆保険制度を実現したが、台湾では先行していた断片的な制度の財政を改善することが目的とされていたのに対して、韓国では保険組合間の格差が問題にされていた。それに対して、台湾では断片的に無拠出の老齢手当金を支給することによって、既存の高齢者をめぐる老齢所得保障に対応してきたが、韓国では既存の高齢者に対する給付が極めて少なく、現役の労働者に寛大な国民年金制度を導入し、世界銀行による合理化の要求をも跳ね返し、一階建てかつ所得代替率の高い公的年金制度を維持している。 過去二年間の研究成果は、学術誌論文(4本)を発表したと同時に、学会・研究会報告(4回)を行い、さらに単著に相当する論文原稿を作成したことである。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)