現代中国における少数民族問題の実態解明と民族政策の変遷に関する総合的研究
Project/Area Number |
13720072
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
星野 昌裕 北九州市立大学, 外国語学部, 助教授 (00316150)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 中国 / 少数民族 / 民族問題 / 民族政策 / 民族 / 基層選挙 / 民族区域自治 / 村民自治 |
Research Abstract |
中国での実地調査、国内外での資料収集、1980年代以降の中国の民族問題の質的変遷を軸に研究した。中国での実施調査は青海省西寧市および内モンゴル自治区フフホト市周辺の農村で重点的に行った。いずれの調査地でも、脱社会主義化に対応するために共産党を中核とする基層組織の再強化が図られていた。しかしその方策の一つとして漢族地域で推進されているような村長選挙の活性化は行われていなかった。その理由としてある農村幹部は、少数民族への具体的な優遇策を定めないまま直接差額選挙を推進した場合、民族区域自治法が規定する少数民族の自治権や優遇策と矛盾する可能性があるからだと説明した。民族政策の変遷については、当初中国当局は民族問題を国内問題の一環と捉えていたが、1987年にチベット問題が国際化すると、国外の民族分裂主義と国内の独立勢力が結託した敵対矛盾であるとの認識に転じた。ポスト冷戦期に入ると、周辺国の脱社会主義化に呼応して中国の少数民族運動はさらに活発化した。中国当局は民族問題の発生要因を民族地区における経済発展の相対的な遅れ、国内と国外の民族運動の結託、民族区域自治制度の不備に集約し、少数民族地区への経済支援や民族運動の支援組織が集中する隣接国やアメリカとの外交関係を強化するとともに、民族運動の取り締まりを徹底した。また2001年に民族区域自治法を改正し少数民族に漢族文化の受容を促すよう方針転換した。中国の少数民族政策は依然として少数民族の不満表出の抑制に重点を置いているが、そうした方策では問題の解決にいたらないというのが本研究の結論である。中国に必要なのは異論や不満の表出を許しそれらを政治体制にフィードバックしうる政治システムの構築である。中国の民族問題を解決するにはまず中国の政治体制が国民人一人を尊重する政治システムを構築しうるかどうかにかかっているといえる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)