英国における権限移譲改革以後の政治過程分析-新制度論アプローチ-
Project/Area Number |
13720079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
北村 亘 甲南大学, 法学部, 助教授 (40299061)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 大ロンドン市(GLA) / 官民パートナーシップ(PPP) / 中央地方関係 / 二元的代表制 / 拒否権プレイヤー / 直接公選市長制度 / ケン・リヴィングストン / アーバン・ガヴァナンス / 権限移譲改革 |
Research Abstract |
平成14年度は、前年度の研究成果をもとに、大ロンドン市と英国中央政府との交渉過程の観察に加えて、日本との比較の可能性と一般化を模索した。観察された事実は、以下の通りである。ロンドン地下鉄への官民パートナーシップの導入を執拗に要求する中央政府に対して、大ロンドン市は官主導での運営を主張して膠着状態が続いている。また、2003年からは交通渋滞対策として中心部でロード・プライシングを導入し、積極的に市民の要求に応えようとしている。これらのことは他の英国内の自治体では観察されていない。 これらの観察は、中央地方関係の分析には地方政府内部の制度配置の考察が不可欠であることを示唆している。分離型の英国の中央地方関係の下では、地方自治の活動量と活動範囲は中央政府の法令で定められるために、融合型の場合と比較して、活動量は低く、活動範囲は限定的なものになる傾向がある。しかし、同じ英国においても、直接公選の市長制度を採用する大ロンドン市長の政治力は大きく、大ロンドン市の活動も大きい。つまり、中央地方関係を論じる場合、地方政府内部の制度的特徴が重要だということを意味している。 首長、地方議会、そして中央官庁の三者の制度的関係から日本と英国との比較を行うと以下のような結論が得られた。日本と同様の二元的代表制を採用する大ロンドンでは市長に政策提案などにおける圧倒的な権限を付与して市議会を従属させていることによって、市長は都市利益全体を志向する意思決定を可能にしていることが明らかになった。他方、日本の地方制度では、地方議会は、首長提案の条例案を否決することが可能であるという意味で「拒否権プレイヤー」であり、さらに話題の法定外税の導入については同意権をもつ総務省も同様である。日本の地方政府の首長は、拒否権プレイヤーの好まない政策を提案しないことが合理的であるために、大胆な改革を実施しにくい制度配置に置かれている。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)