Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
平成14年度は前年度に引き続き,Ohlson[1995]モデルをはじめとする会計数値を用いた企業評価モデルの先行研究に関してサーベイをさらに進めるとともに,これらのモデルがさらに株価説明力を改善する可能性としてあげられる「割引率の精緻化」について検証を試みた。多くの先行研究が企業評価モデルの中の割引率に関して,データコストとモデルの改善度のトレードオフを理由に,本来は企業の割引率は各企業ごとに異なる資本コストであるにもかかわらず,10%前後の任意の定数を一律に設定し,データコストの削減のほうを重視している。この件に関して反対に,加重平均資本コストをはじめとする資本コスト算定法を用いて各企業について算定し,データコストを度外視してモデルの改善度の検証を試みた。検証は,東洋経済新報社「株価CD-ROM2003」より収集した株価データと,神戸大学および茨城大学にて収集した企業の財務データを利用して行った(ただし,財務データに関しては膨大なデータを手作業入力したため,予定していた全データの収集を行うことができず,検証は部分的なものである)。しかしながら,「割引率の精緻化」を行うことでモデルの株価説明力を改善するという結果には至らなかった。この件に関しては,引き続きサンプル数を充実させ検証を行うことにする。 また,上記の検証を行う過程で,近年企業が資金調達円滑化を目論んで行った株式取引単位の引下げ(くくり直し)によって,株価が連続的でなくなっていることや出来高がかなりの影響を受けていることを発見した。さらに上記の検証を正確に行う場合には,このイヴェントの影響を考慮して対象サンプルから除外して検証を行わなければならない必要性があることが判明した。この件に関してはすでに,茨城大学人文学部の池田義男氏との共同研究で出来高・株価について東京証券取引所一部上場企業についてその影響の検証が終了しており,『広島大学経済論叢』第27巻2号で発表する予定である。
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