Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
ハロゲン架橋金属錯体は,強い吸収2色性,高次にわたるRaman散乱,大きなStokesシフトを伴う発光スペクトルなど,興味深い光学活性物質である.近年この物質系において金属サイトの複核化が成功し,いわゆるMMX錯体の物性測定が盛んになってきている.本研究課題では,これを理論的にリードすることを目指している. 研究初年度においては,群論による解析的対称性の議論に基づき,可能な基底状態を系統的に導出し,その物理的性質を明示した.数値計算も行って,実際にどのような条件下でいかなる基底状態が存在し得るかを議論した.計算は絶対零度だけでなく有限温度にも拡張し,量子相転移から熱転移,さらには圧力誘起相転移など,さまざまな内的・外的条件下での相競合の実態を予言・解釈した.特に圧力誘起相転移に関しては実験研究との緊密な連携を図り,東大工学部・物理工学専攻・岡本研究室による観測に,明快な理論解釈を与え,その後の実験研究にも方向性を与えた. 研究2年度目においては,上記初年度の成果をもとに,非線形光学励起へと計算を進めた.この物質系の原形であるMX錯体では,ソリトン,ポーラロンなど低次元特有の素励起が観測され,その高速ダイナミクスが多くの興味を集めてきた.MMX錯体でも同様な観測が期待されるが,そこではより有効質量が小さく易動度が高いキャリアが励起され得ることを示した.特に,ポリアセチレンで脚光を浴びた解析連続体模型が本物質系に転用できることを数学的に示し,その類似性に基づき,多くの得意な低次元物性を予言した.
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