ペロブスカイト型チタン酸化物における軌道状態とスピン秩序
Project/Area Number |
13740207
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Tohoku University (2002) The University of Tokyo (2001) |
Principal Investigator |
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | ペロブスカイト構造 / 軌道状態 / スピン秩序 / スピン波 / 軌道波 / ペロブスカイト型チタン酸化物 / 軌道秩序 / G型反強磁性 / 強磁性 / 共鳴X線散乱 |
Research Abstract |
今年度は前年度に引き続き、低温で強磁性を示すYTi03単結晶およびCaをドープしてホールを導入した試料をフローティングゾーン法によって作製し、比熱測定や、回折実験の研究者と共同で共鳴x線散乱や中性子散乱の手法を用いてその軌道状態を調べた。低温の電子比熱の測定からは、ホールのドープとともに、軌道のエントロピーと考えられる成分が低エネルギー側にスペクトル強度を移している様子が観測されたが、軌道整列に対応する明確な構造のようなものは観測されなかった。中性子回折からは、強磁性相は、今まで知られていなかったG-タイプの反強磁性成分がわずかに存在するようなキャントした強磁性であることが明らかになった。また、非弾性散乱の結果からは、マグノンのギャップは0.3meV以下と小さく、また、その分散は最近接スピン間の強磁性的交換相互作用の大きさが2.75meVで、非常に等方的であることが明らかになった。共鳴x線散乱の定量的解析からは、その散乱メカニズムが格子の寄与からくるものではなく、軌道からくる散乱であり、またその結果得られた軌道パターンは理論計算から予測されるパターンとほぼ同様のパターンであるとの結果を得た。しかしながら、このパターンでは、中性子非弾性散乱で観測された等方的で、強磁性的な交換相互作用は得られず、統一的な理解には至っていない。一つの可能性としては、軌道状態が量子力学的揺ぎを伴っている、という考え方も提出されているが、更なる検討が必要である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(12 results)