Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本年度は,昨年度採取した飛騨外縁帯産床板サンゴ化石の薄片製作と,その観察・記載を行った.その結果,飛騨外縁帯の床板サンゴ化石群集は,従来知られているよりバラエティに富んでいることが明らかになり,予察的にではあるが,国内からは産出報告のない種が含まれていることも,明らかになりつつある. また,岐阜県上宝村今見に分布する,今見緑色岩類の年代を決定するため,今見緑色岩類に含まれる斑れい岩より普通角閃石を重液分離法にて高精度で分離し,Ar-Ar法を用いて年代決定を行った.その結果,307.13±12.18Maの年代が得られ,今見緑色岩類が石炭系である可能性が濃厚になった.今見緑色岩類は,その岩相・分布より,岐阜県国府町〜丹生川村に広く分布する,石炭系荒城川層に対比可能と推定されており,今回の結果は,年代的にもそれを支持する. その他,野外地質調査により,飛騨外縁帯に分布する剪断帯の変形解析も行った.その結果,この剪断帯中には2つのタイプの変形(右横すべりないし鉛直方向すべりと,左横すべり)が存在することが判明した.このことは,飛騨外縁帯の形成に,少なくとも2回以上の構造運動が関係していることを示している.右横すべりないし鉛直方向すべり運動の時期はジュラ紀以前,左横すべり運動の時期は白亜紀と思われる.石炭系荒城川層とペルム系森部層は,これらの剪断帯によって,3ないし4つのブロックに分断されている.恐らく,ジュラ紀以前の構造運動によって飛騨外縁帯の基本構造(proto-飛騨外縁帯)が形成された後,白亜紀の構造運動によってそれが改変され,現在の飛騨外縁帯の構造が形成されたものと思われる.
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