貝殻中の微細構造の特徴と炭素酸素安定同位体比を利用した沿岸環境解読に関する研究
Project/Area Number |
13740301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Stratigraphy/Paleontology
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 啓子 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (80322220)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | ヤマトシジミ / Corbicula japonica / 汽水 / 殻体構造 / 炭素・酸素同位対比 / 成長線 / 微細構造 / 沿岸環境 / 汽水性二枚貝 / 炭素・酸素安定同位体比 / 成長 |
Research Abstract |
1.沿岸の環境変動を反映して形成された貝殻試料を得るために、海水と淡水が混合し、複雑に塩分濃度が変化する島根県神西湖の湖水を連続供給した人工湿地においてヤマトシジミCorbicula japonicaを育成した。人工湿地では水温・塩分を常設水質計で常時観測した。この貝殻に対し、微細組織・成長線および炭素酸素同位体比の検討を行った。 (1)ヤマトシジミ殻体には透明層と不透明層が交互に形成され、マーキング試験から、不透明層は夏季8月を中心に約2ヶ月間(6月から10月の間)で形成されたことがわかった。 (2)殻層に沿って切り出した殻の炭酸カルシウムについて炭素酸素同位体を測定したところ、極大値と極小値をとる殻の位置が良く一致した。極大値は冬に、極小値は夏に形成された殻層において記録されていた。酸素同位体比では極大と極小の差は3〜4%で、成長期間の水温差を反映していると考えられた。 (3)塩分との関連については、夏季に塩分濃度が上昇するため、水温による変動と同調し、分離が困難であった。 (4)同位体比の変化と貝殻の透明層不透明層との出現パターンを対比したところ、非常に良く一致した。同位体比が上昇する夏から翌春に形成された殻層は透明層が、同位体比が低下する春から夏に形成された殻層は不透明層が、それぞれ占めていた。 (5)ヤマトシジミの微細成長線は、不透明層において一日に10本程度形成され、潮汐による塩分変化を反映していない可能性が示唆された。そこで、次の2.の調査を行った。 2.潮汐によって塩分が日周変化する大橋川に定点をもうけ、殻の成長の著しい5月の大潮の日に、24時間調査を行った。約4時間毎に6回、シジミを環境中より採取し、消化管内容物の観察とともに、内表面の状態をレーザー顕微鏡で観察した。その結果、シジミの殻成長線は、塩分の変化とは同期しておらず、むしろ摂餌または呼吸行動に関連して形成している可能性が考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)