蛋白質のコヒーレント振動モードの由来と反応との相関の解明
Project/Area Number |
13740331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 聡 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (80263234)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 超高速分光 / タンパク質ダイナミクス / ブルー銅タンパク質 / Psuedoazurin / ヘムタンパク質 / Cytochrome c / 均一幅不均一幅 / Ti:Sapphireレーザ / 均一不均一 / Ti : Sapphireレーザ |
Research Abstract |
ブルー銅タンパク質の一種であるpseudoazurinとヘムタンパク質の代表的なものであるCytochrome cについて、超高速分光法を用いてそのダイナミクスを調べた。これらのタンパク質はいずれも電子伝達系に含まれるもので前者は植物などの光合成系で、後者は動物の呼吸鎖で働く電子伝達タンパク質である。電子伝達を行うタンパク質一般に見られることであるが、酸化還元反応による再配向エネルギーの変化をできるだけ小さくするためだと考えられるが、酸化体、還元体の変化によらず活性中心の構造は非常によく保持されている。このため構造の違いによる電子状態の静的な変化は少なく、反応時のタンパク質環境のダイナミクスが効率化、選択性を制御していると思われる。pseudoazurinについては研究室自作のCr:Forsteriteレーザを、またCytochrome cについても研究室自作のTi:sapphireレーザを用いて研究を行った。それぞれ波長が630nm,400nmとそれぞれのタンパク質を励起するのに最適なものを制作できた。またこれらはほぼ20フェムト秒台のパルス幅をもち、分子内振動も含めてタンパク質のダイナミクスを観測するのに十分な時間分解能をもつ。pseudoazurinの場合はすでに報告したようにplastocyaninで見られたのと同様の30cm^<-1>近辺のタンパク質の骨格振動由来と考えられる低波数のコヒーレントな振動が観測され、これはタンパク質が反応によってコヒーレントに振動することをより明確に示したものといえる。また、Cytochrome cに関しては酸化型と還元型でダイナミクスにおける均一不均一性が大きく異なることがわかった。これらは酸化還元の機能発現に大きく関与していると考えられる。また共鳴ラマン分光法では観測されなかった低振動モードが観測されたことからこれは反応誘起のコヒーレントダイナミクスが起こっていることが示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)