表面下に存在するドーパントのSTM-バリアハイトイメージングによる観察
Project/Area Number |
13750029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
表面界面物性
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 修 京都大学, 国際融合創造センター, 助手 (90303859)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ナノプローブ / 表面・界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / バリアハイトイメージング / 水素終端 |
Research Abstract |
STM(走査トンネル顕微鏡)を用いてシリコン表面近傍のドーパントを原子〜ナノスケールで直接観察することに成功した.STM観察を行なうためには原子オーダーで平坦な表面を得る必要があるが,本研究では弗化アンモニウム溶液を使用したウエットエッチングの方法で,観察に適した平坦な水素終端シリコン表面を作成し試料として使用した.この方法では,高い温度によるアニーリング無しで,表面清浄化を行なうことが可能であるため,表面近傍のドーパントプロファイルの変化を回避することができる. 研究の結果,表面近傍のドーパントをSTMで直接観察できることが明らかになった.比較的高濃度にひ素ドープされたシリコンウエハーを用いて観察を行なった結果,シリコンの表面近傍のドナー(ひ素原子)は電流一定STM像において明るいスポットとして観察されることが明らかになった.このSTM像での明るいコントラストは帯電したドナー(ひ素原子)の形成する静電ポテンシャルによる局所的なバンドベンディングであると考えられ,その広がりは半導体中での静電遮蔽距離に依存している.STM観察による表面近傍のドーパント濃度の測定の結果,観察される濃度はウエハー自身の濃度の数分の一程度であることが明らかになった.これはウエットエッチング時に半導体内に侵入する水素原子によるドーパントの不活性化が原因であると考えられる. STM-バリアハイトイメージング法では,STMによる表面形状の観察と同時に,表面でのポテンシャル計測を行なうことができると考えられる.我々は種々の吸着系でこのようなポテンシャル計測が可能なことを明らかにし,さらに表面下に存在するドーパントにもこの方法を適用した.測定の結果,STMによって観察されるドーパント近傍でのポテンシャル低下は1.5eV程度であることが明らかになった. 半導体デバイスの微細化に伴い,ナノスケールでのドーパント分布の不均一,およびドーパント分布の不均一の結果として静電ポテンシャルの不均一がデバイス特性に大きく影響を与えることが問題になっている.このような問題に対して本研究の結果はドーパント分布および局所的なポテンシャルの直接観察に簡便な方法を与えるものである.
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)