Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
骨組織の適応的な再構築過程における力学環境変化の影響を明らかにするため,その素過程である細胞の活動に着目し,力学環境の変化が細胞活動に与える影響について検討した.特に,骨芽細胞内の細胞骨格アクチンフィラメントや細胞内カルシウムイオン濃度の変化は,他の様々な細胞内シグナリングカスケードの上流に位置しており,骨形成過程において重要な働きをしている. 細胞が力学的刺激を感知する機構の中でも,特に力学的刺激を細胞内部へと伝達する経路において重要な役割を果たしていると考えられているアクチンファイバーが,細胞内において配向した特徴的な構造を有していることに着目し,この構造的特徴が,力学的刺激の伝達機能に対して影響を与えているとの仮説の下で実験を行った. まず,サイトカラシンを用いて細胞内アクチンフィラメント構造を調整し,アクチン量の異なる細胞に対して,マイクロニードルを用いて変形を与えた結果,細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が観察された.さらに,同じ刺激に対して,アクチンの量に応じてその応答確率が上昇することが示された. 次に,カルシウム蛍光指示薬であるFluo4とFura Redを用いたレシオメトリー法により,力学刺激に対する細胞内カルシウム濃度変化の定量的測定方法について検討した.また,観察領域を限定することにより,細胞のカルシウム応答を0.3秒間隔で追従することが可能となった.マイクロピペットの押し込みに対して,本手法を用いて細胞内カルシウム応答を観察したところ,ピペットの押し込み方向に対して,上流からカルシウムイオンが上昇し,それが細胞内に伝播していく様子が観察された. これらの結果は,分子レベルの複雑な微細構造からなる細胞内力学システム系における力学刺激感知能力を規範とする,新しいメカノセンサーメカニズムの開発へ向けた基礎的な考え方を与えるものと考えられる.また,骨の再生やリモデリングによる骨の構造形成過程における,骨芽細胞の活動に及ぼす力学的刺激の影響を探る基礎となるものである.
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